楢崎智亜 東京後、競技者から”妻目線”に変えて支えてくれた啓代さんの目前で予選落ち「凄く残念」

[ 2024年8月7日 19:40 ]

パリ五輪第13日 陸上 競歩混合団体 ( 2024年8月7日    イエナ橋 )

決勝進出を逃した楢崎智亜(AP)
Photo By AP

 スポーツクライミング男子複合は予選後半のリードが行われ、21年東京五輪4位で2大会連続出場の楢崎智亜(28)は10位にとどまり、9日の決勝へ進めなかった。5日に行われた予選前半のボルダーは54.4点の2位通過だったが、東京五輪後に磨いてきたリードでは早々と落下して12.1点の14位。合計66.5点は4人を残した時点で予選通過ぎりぎりの8番手で、次のヤコブ・シューベルト(33=オーストリア)の試技中にポイントで抜かれた瞬間、予選落ちが決まった。

 楢崎「正直、体の感覚やウオーミングアップの感じはよかったので、もっと行きたかったけど、点が稼げなくて大失敗しちゃいました。オブザベーションの段階では、動きはそこまで苦手ではなかったので、楽しみな印象ではありました」

 19年の世界選手権複合で優勝。金メダル最有力候補として、スポーツクライミングが初採用された東京五輪に臨んだが、終わってみれば不完全燃焼の4位だった。開催が1年延期されたことから「さらにトレーニングをして“圧倒的な状態で勝ちたい”というふうに思ってしまった」と当時を回想する。うまくいかなくなると、途端に歯車が崩れることが多かった。練習メニューの内容を濃くし過ぎて、まとまらないこともあった。

 あれから3年。今では「リラックスできている」と口にする。東京五輪まで同じ拠点などで高め合ってきた野口啓代さんが引退。その後に野口さんと結婚し、家族となった。家事や育児をこなしながら、競技のサポートもしてくれる妻に感謝は尽きない。

 「啓代から来る意見の質や感じが変わった。少し離れて見ているので、前よりも的確。以前は選手だったので自分の感覚が乗っかっていたけど、今は一選手としての自分に対して“こういうふうに見えるよ”と言ってくれる。深い感じがある」

 東京五輪で女子複合銅メダルの啓代さんからは「東京の屈辱を晴らして笑顔で終わってほしい」とエールをもらってきた。家族の応援こそが最大の原動力だった。その啓代さんが見守る前で、まさかの予選落ち。何度もウオールの方を振り返りながら「東京五輪後は本当にいろんなことをやってきて、今度こそはという気持ちで臨んでいたので凄く残念です」と肩を落とした。

続きを表示

この記事のフォト

「羽生結弦」特集記事

「テニス」特集記事

スポーツの2024年8月7日のニュース