立命館大出身の幕下・大元が引退「ずっと楽しかった」有終の美飾り号泣 今後は小学校教員の道へ
日本相撲協会は31日、初場所限りで引退した力士を発表した。既に発表されている元幕内・東龍(36=玉ノ井部屋)と元十両・千代嵐(32=九重部屋)の他に、幕下以下15人の引退が新たに発表された。
西幕下37枚目の大元(31=雷部屋)は初場所で5勝2敗の好成績を残しながら、9年間の力士生活を終えた。
大元は最後の取組となった14日目、竜勢(37=伊勢ノ海部屋)を送り出しで下して有終の美を飾った。最後の勝ち名乗りを受けると感極まり、引き揚げる花道では号泣。部屋の力士全員(十両・獅司、三段目・龍司、毅ノ司、西太司、雷道、序二段・鷹司)に拍手で出迎えられ、一人一人と握手を交わした。
最後の相撲と心に決めて臨んだ一番で会心の勝利。「出し切りました。ずっと楽しかったです。悔いはないです」。相撲が大好きで、熱い思いを持って飛び込んだプロの世界。9年間の力士人生を全うした。
大元は岡山理大附高、立命館大を経て、元関脇・栃司が師匠を務める入間川部屋(当時)に入門。15年初場所で初土俵を踏んだ。同期生には同学年の岩崎(現幕内・翔猿)がおり、前相撲で対戦して突き出しで勝利。三段目に番付を上げたデビュー3場所目の15年名古屋場所では、6戦全勝で迎えた7番相撲で同学年の宇良(現・小結)に敗れた。
思い出の一番は、20年7月場所14日目の3勝3敗で迎えた若隆元戦。「初めて幕下上位5番で取って勝てたのがうれしかった」。勝ち越しを決め、翌場所で自己最高位となる東幕下13枚目まで番付を上げた。
21年名古屋場所後、右足親指を負傷して手術。2場所連続全休で幕下中位から三段目下位まで番付を下げた。そこから2場所で幕下へ戻るも、関取昇進を狙える地位まではたどり着けず。その間に弟弟子の獅司が関取昇進を果たし「悔しくて寝られなかった。こんな悔しいことはない」と大いに刺激を受けた。
稽古場では獅司と互角に渡り合う実力を持っていたが、本場所ではなかなか結果が出せず。昨年名古屋場所、秋場所と2勝5敗が続き「終わったな。もう31歳になるし、関取に上がれないなら…」と引退を考えた。体力の限界ではなく「幕下にならまだいられる」としながらも「学生出身で入って上で戦うことを目標にしていたので」と潔く現実を受け入れ、秋場所後に引退を決意した。
「いつも“負けられない”と自分を追い込んでいたけど、先場所から本当に相撲が楽しい」。初場所限りでの引退を心に決めたことで、開き直って心から相撲を楽しんだ。その結果、初場所はいきなり4連勝でストレート勝ち越し。「気負いがなくなった。もっと早く気付けばよかった」と笑顔を見せていた。
雷部屋の力士7人の中で最年長で、みんなの兄貴分的存在だった。岡山理大附高の2年後輩にあたる三段目・西太司(29)は「常に自分より上の番付にいて、ついていこうと頑張れた。大元さんの相撲に取り組む熱い気持ちを学ばせていただきました」と感謝。部屋頭でウクライナ出身の十両・獅司(27)は「日本に来た時から、日本語も相撲もいろいろ教えてもらった。稽古場でもずっと一緒だったので、寂ししです」と別れを惜しんだ。
大元は引退後、4月から滋賀県の小学校で常勤講師を務める予定。立命館大学産業社会学部で小学校の教員免許を取得しており、大学時代は教師になるか力士になるかで迷っていた時期もあった。力士生活に区切りをつけ「一回だけの人生なので」と次の夢へと向かう。相撲界で学んだことは「我慢すること。規則正しい生活。仲間の大切さ」と熱く語る誠実な31歳。「我慢強い、努力し続けるような子を育てていきたいです」。その熱い思いを、これからは教育の場で生かしていく。
この日、新たにこの日新たに引退を発表した力士は以下の15人。
▽幕下
大元(31=雷部屋)
▽三段目
頂(29=伊勢ノ海部屋)、羅王(30=立浪部屋)
▽序二段
美登桜(31=八角部屋)、前乃富士(41=高田川部屋)、二十城(38=山響部屋)、武東(22=玉ノ井部屋)、煌星(17=湊部屋)、朝乃土佐(42=高砂部屋)、神山(42=高砂部屋)
▽序ノ口
我妻桜(18=式秀部屋)、奥山(20=八角部屋)、都川(25=伊勢ノ海部屋)
▽番付外
泉川(26=芝田山部屋)、星(19=朝日山部屋)
◇大元 貴志(おおもと・たかし)1992年(平4)11月23日生まれ、岡山県総社市出身の31歳。岡山理科大学附属高1年から相撲を始め、立命館大2年時に西日本学生体重別大会135キロ以上級準優勝。入間川部屋(当時)に入門し、15年初場所で初土俵。16年初場所で幕下昇進。17年九州場所で「寶司(ほうつかさ)」に改名。18年秋場所で再び本名の「大元」に改名。最高位は東幕下13枚目(20年秋場所)。幕下在位39場所。通算成績195勝145敗31休。1メートル78、160キロ。
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