新大関・琴ノ若「感謝の気持ちを持って…」口上に埼玉栄の恩師・山田監督万感「鳥肌立ちました」

[ 2024年1月31日 15:24 ]

部屋の力士が作った騎馬の上で笑顔を見せる琴ノ若 =千葉県松戸市の佐渡ケ嶽部屋(代表撮影)
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 日本相撲協会は31日、東京・両国国技館で臨時理事会を開き、初場所で13勝を挙げて優勝決定戦に進出し直近3場所合計33勝を挙げた琴ノ若(26=佐渡ケ嶽部屋)の大関昇進を満場一致で決定した。

 琴ノ若はこの日、千葉県松戸市の佐渡ケ嶽部屋で行われた大関昇進伝達式で「謹んでお受けいたします。大関の名に恥じぬよう感謝の気持ちを持って相撲道に精進して参ります」と口上を述べた。

 29日の会見では「かまないように気を付けます」と話していたが、本番では一言も間違えることなくしっかりと言葉を紡いだ。本人は「出だしで一瞬飛びました。すぐに言えたんですけど、あの時間は自分の中で長かったです」と緊張していた様子。それでも、土俵上と同じく周囲にはそれを感じさせない堂々とした振る舞いだった。

 口上は29日のうちに考えた。かつて琴光喜や琴奨菊ら佐渡ケ嶽部屋の先輩大関が四字熟語を使っていたことも頭をよぎったが「難しく考えないで、自分が思ったことを素直に言おうと思った」という。真っ先に思いついた言葉が「感謝の気持ち」。母校・埼玉栄相撲部の部訓が「感謝の気持ちと思いやり」であり、この言葉は「小さい頃からずっと先代に言われていた」ものでもあった。「この言葉は絶対入れたい。この気持ちが一番大事」と心に決めた。

 それからは、かまないように何度も練習したという。その回数は「数え切れないぐらい」といい、何度も繰り返した“稽古の成果”が本番で生きた。

 埼玉栄高相撲部の1年先輩にあたる貴景勝は19年3月、大関昇進伝達式の口上で「感謝の気持ちと思いやりを忘れず相撲道に精進して参ります」と述べていた。この日、伝達式を見守った同校相撲部の山田道紀監督(58)は「“感謝の気持ち”ね。6年間のことを言葉に出してくれている」と感慨深い様子。教え子がともに部訓を口上に入れたことに「同じ屋根の下で同じ釜の飯、理屈じゃない世界。その言葉に鳥肌が立ちましたね」と万感の思いだった。

 豪栄道も含め同部OBから3人の大関を輩出。次は横綱誕生に期待がかかる。山田監督は「夢ですよね。栄から横綱が出てほしい。感謝の気持ちで親孝行してほしいなと思ってますよ」と目を細めた。

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