日本勢4位の桃田 逆転五輪狙う 4番手スタートも「上の3人が“あれっ”となれば」

[ 2023年4月12日 04:35 ]

新ユニホームで取材に応じた(左から)小林、保木、桃田
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 バドミントン日本代表が11日、都内で取材に応じ、男子シングルス世界ランキング21位の桃田賢斗(28=NTT東日本)が24年パリ五輪出場への覚悟を初めて示した。不調にあえぎ、現在は日本勢4番手。5月から1年にわたる五輪選考レースで逆転での代表権獲得を狙う。日本勢トップ、同5位の奈良岡功大(21=FWDグループ)は初の五輪切符を目指す。

 不調にあえぐ桃田が選んだのは、いばらの道だ。5月から始まる五輪選考レースでは、日本勢4番手からのスタート。世界ランク5位の奈良岡を筆頭に、12位に同期の西本、15位に常山とライバルは多い。上位2位に食い込めなければ2度目の五輪出場への道は絶たれる。それでも「チャレンジャー精神を忘れず、迷うことはやめて、自分らしく楽しめたら。最下位スタートが逆に武器。追われる方がしんどいので上の3人が“あれっ”となれば」と覚悟を決めた。

 19年には世界選手権2連覇に史上最多の年間11勝と栄華を極めた。だが、最近では厳しい現実を突きつけられる日々が続く。コート上で受け身になり、相手の連打を浴びる。東京で行われた昨夏の世界選手権では2回戦で散り、ジャパン・オープンでも初戦敗退。引退も頭に浮かんだが「折れるのは簡単。このままで終わりたくない」と踏みとどまった。

 16年リオ五輪前には、違法賭博問題による出場停止で夢舞台に立てず。みそぎを済ませたが、20年1月にはマレーシアで不慮の交通事故で右眼窩(がんか)底骨折。必死に間に合わせた21年の東京五輪は1次リーグ敗退だった。何度も逆境を乗り越えて、なおも「何回も壁にぶつかりたい」と決意を示した。

 これまで封印していた五輪への思いをもう隠さない。「東京五輪に出場し、あの緊張感だったり、試合が終わるたびに感極まりそうになる自分の高ぶりは違うものがあるなと感じた。もう一回、あのコートに立ってプレーしたい」。今年29歳となるベテランが、全てを懸けて。数奇な人生を歩む男の新章が始まる。

 ▽バドミントンのパリ五輪への道 今年5月1日から24年4月28日の選考レースを経て、同30日付の世界ランクで決まる。世界選手権や世界ツアーなどの成績を基に加算されたポイントで争う。出場枠は男女各86人の計172人で、各国・地域から最大で男女各8人が出場可能。シングルスは16位までに2人、ダブルスは8位までに2組が入れば2枠を獲得する。

 ≪日本勢トップ5位 急成長の奈良岡が立ち位置再確認≫急成長中の21歳・奈良岡は、初の五輪選考レース。「まだ何も分からない。いつもと違う感じがしている」と話した。コロナ下で磨き上げたスピード感あるプレーで東京五輪後に躍進。世界ランク50位台からポイントを積み上げて現在日本勢トップの5位だが「世界ランクが全てじゃない。素晴らしい先輩に追いつきたい」と立ち位置を再確認。「五輪レースは日本も海外の選手も目の色を変えてやってくると思う。それに勝てるようにやりたい」と意気込んだ。

 ≪山口パリ出場へ慎重 明言避ける≫女子シングルスの山口はパリ五輪出場について「今は出たい気持ちも出たくない気持ちもない。(代表選考)レースが始まることにも気持ちの変化はない」と明言を避けた。リオデジャネイロ、東京はいずれも準々決勝敗退。世界ランク1位の実力者にはメダル獲得の期待もかかるが、「パリまでにやめたいと思った時に“メダルを獲りたい”と言った責任を取る自信がないので言わないようにしている」と慎重に話した。
 

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2023年4月12日のニュース