国内男子ツアー開幕!JGTO青木会長「ツアーの競争率も凄く上がってきた」
国内男子ゴルフツアーは30日、東建ホームメイト・カップ(東建多度CC名古屋)で開幕した。昨季は比嘉一貴が4勝を挙げツアー最小兵(1メートル58)の賞金王に輝いた。ランク2位に星野陸也が続き、25歳の岩崎亜久竜が同3位に入るなど若手の台頭が目立った。世代交代が進む日本ツアーの今季の見どころや注目選手について、日本ゴルフツアー機構(JGTO)の青木功会長(80)に聞いた。(大渕 英輔)
――昨年は比嘉一貴選手が4勝を挙げ初の賞金王に輝いた。
「シーズン開幕前に自分で目標を立てて、4月の関西オープンで早々に優勝できた。それから6月のBMW日本ツアー選手権森ビル杯で2勝目を挙げ、それでよし(賞金王を)狙おうと、自分の中でかき立てるものがあったんじゃないかな。ショットもパットも良くなって平均ストロークが2位(70・12)、パーキープ率は1位(88・94)と安定していた」
――身長1メートル58はツアー選手の中で最小兵。
「小さいから賞金王を獲れないというものはないでしょう。27歳はゴルファーとして一番充実してくる時期。“比嘉ができるなら”と思った選手も多いかもしれないが、そんなに簡単なことではない。ただ、刺激を受けた選手が多いのは事実。昨年は優勝者の平均年齢が28・27歳と歴代で一番若かった。そういう意味ではツアーの競争率も凄く上がってきた」
――昨年の開幕前に会長が注目していると話していた岩崎亜久竜選手が賞金ランク3位と飛躍した。
「BMW日本ゴルフツアー選手権森ビル杯の時に亜久竜の手を見させてもらったら爪が伸びていた。それで“これじゃあショットの時に力が入らないだろう。俺は切ってたよ。その方が指先のフィーリングとか良くなる”とアドバイスした。そうしたら、その試合でいきなり3位。ヒントになるようなことを言えて良かった(笑い)」
――岩崎選手はいつも絶好調と言って前向き。
「若い人は結果が出ないとすぐ暗い顔をする。彼には、調子が良くても悪くても“笑顔の亜久竜になれ”と言った。もともと性格は明るい。いつも笑顔でいれば悪く思う人はいない。その振る舞いに成績が伴って人気も出てきた」
――河本力選手も昨年、青木会長のアドバイスで覚醒した選手の一人。
「ABEMAツアーの時に“おまえはこの成績で満足しているの?それともへたなの?”と聞いたら“どっちでもないです”と言ってきたので“だったらみんなと同じことをやってたらダメだろう”と言った」
――具体的には?
「飛ぶという武器を持っているのに、その力を出し切っていなかった。他の選手が6、7番で打っていたりすると自分も同じクラブでコントロールして打とうとしていた。だから“8番で届く距離ならそれで思い切り振って打てば良い。グリーンを外しても気にするな。人よりも飛ぶんだから全部飛ばせば良い”とはっぱをかけた」
――それからすぐにSansan・KBCオーガスタで初優勝した。
「河本には“おまえ、このままじゃ来年ツアーからいなくなるぞ”と脅かした。それで発憤したみたいだね。後になって本人から“青木会長の言葉じゃなかったら僕は聞かなかった”と言われたよ」
――昨季は石川遼選手も復活優勝した。
「星野(陸也)とのプレーオフだったけど、3年ぶりの優勝で吹っ切れたんじゃないかな。ただ、今のスイングに満足しているかどうかは、本人じゃないと分からない。個人的には試合中のシャドースイングはあまりやらない方が良いと思う。あれで考えをまとめているのかもしれないけど、周りからすると悩んでいるように見える。今年はそういうしぐさを見せないでニュー石川遼みたいな感じで出てきてくれたら良い」
――開幕戦の注目選手は?
「昨年活躍した比嘉や岩崎、河本や桂川(有人)ら若手がどういうスタートを切るか。星野や岩崎、金谷(拓実)はDP(欧州)ツアーに行っていて、国内の開幕前に試合を経験している。海外で試合に出て開幕戦に挑む選手を国内で調整している選手がどう迎え撃つか。そういう見方も面白い」
――岩崎と星野は日本の賞金ランク上位3人の資格で欧州ツアーのシード権を得た。昨年12月に欧州ツアーと契約を結び実現したものだが、画期的なシステムだ。
「以前から欧州ツアーにお願いしていて実現した。欲を言えば5人の枠が欲しかったけど(笑い)。自分も若い頃に欧州や米国の試合にたくさん出させてもらって、良い経験をさせてもらった。今の人にもグローバルに活躍できる機会を与えてあげたかった。JGTOの国際部が頑張ってくれた」
――今季は4月に欧州ツアーとの共催試合もある。
「日本選手には欧州選手のプレーを間近で見て、自分のゴルフを作り上げる際の参考にしてほしい。JGTOとしても一緒に大会運営をすることで考え方やノウハウを学び取り、今以上にツアーの価値を高めていきたい」
――海外に日本選手が流出する危機感は?
「向こうに行って勝って帰ってきたらファンもうれしいし、注目度も上がる。日本選手には成長の舞台にしてほしい」
――青木政権下で米ツアーのZOZOチャンピオンシップ、そして欧州ツアーが開催されるようになった。日本ツアーもインターナショナルになってきた。
「将来的には欧州、米ツアーの試合をもっと増やせたら良い」
――ルーキーの蝉川泰果選手は、日本で実績を残してから海外ツアーに挑戦したいと言っている。
「蝉川は今のままブンブン振り回して、自分しかできないことをやってほしい。今はおとなしくなる必要はない。若い選手が積極的に海外に行くことは悪いことではない。ただ、できるなら日本で1回でも勝ってから行った方が勝ち方も分かってやりやすいと思う」
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