青木瀬令奈 最大8差逆転V、大西コーチ「まるで侍」54ホール以上ボギーなし史上14人目

[ 2023年3月20日 04:45 ]

女子ゴルフツアー Tポイント×ENEOS最終日 ( 2023年3月19日    鹿児島県 鹿児島高牧CC=6419ヤード、パー72 )

優勝した青木瀬令奈は馬場(左)らからフラワーシャワーを受ける(撮影・中村 達也)
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 4打差の2位から出た青木瀬令奈(30=リシャール・ミル)が8バーディー、ボギーなしの64で回り、通算17アンダーで逆転優勝を決めた。5番終了時で首位を走っていた上田桃子(36=ZOZO)との最大8打差を大逆転。54ホール以上のボギーなし優勝は昨年10月の小祝さくら以来、史上14人目、17年の菊地絵理香らの大会記録(通算14アンダー)も3打更新し、昨年7月の資生堂レディース以来となる通算4勝目を飾った。

 まさに侍のごとく、だった。青木は表情を変えず、淡々とバーディーを重ねた。「敵は自分」と悟った。リーダーボードには目もくれず5番で最大8打あった上田との差を13番で逆転した。勝因はパット。「芝の特性に合わせて開幕から毎週違うパターを使ってますが、ハマりました」。6番で10メートル、10番で6メートル、そして13番で2メートルを着実に沈めて伸ばし、このホールでダブルボギーだった上田をかわした。

 人生をゴルフにささげてきた。オフなんて必要ない。昨季最終戦の2日後には渋野日向子のトレーナーも務める斎藤大介氏の門を叩き、肉体改造に着手。「翌日の筋肉痛の場所によって振り感がどうなるか」まで突き詰めた。週の序盤に腕、開幕直前に腹筋や体幹を鍛えるルーティンを確立。1Wの平均飛距離は15ヤード伸びた。

 不調を極めた21年4月には引退も口にした。大西翔太コーチに甘さを激怒され、花巻東高時代の大谷翔平が実践した目標達成シートを参考に「ざんげノート」を書き始めた。以来、選択肢があれば常に苦の道を選ぶ。美容院もネイルサロンも大好きな宝塚観劇も封印。大西コーチは生まれ変わった青木を「まるで侍」と称えた。

 昨年末、幼少期から指導を受けたコーチの佐藤剛平氏が死去。青木は「見守っていてくれたのかな」と声を詰まらせた。今季目標は複数回Vと全英女子オープン出場。まずは3日間ボギーなしで通算4勝目を飾った。「髪の毛は染めにいきたいし、一番解禁したいのは宝塚です」。ゴルフにささげた日々は無駄でなかった。侍にもほんの少し、ご褒美があっていい。

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