【二所ノ関親方 視点】土俵際で白星“拾った”大栄翔 ツキと実力で十分主役を張れる

[ 2023年3月17日 20:27 ]

<大相撲春場所6日目>突き落としで琴ノ若(右)を破り、全勝を守った大栄翔(撮影・北條 貴史)
Photo By スポニチ

 大栄翔には大きな勝利になりました。立ち合いの失敗から琴ノ若に土俵際まで攻め込まれた。しかし、うまく回り込みながら突き落としで勝利を手にしました。突き押しの力士が下がりながらの体勢を許し、0―10の劣勢から逆転勝ち。調子の良さがうかがえますし、15日間でこういう相撲を拾えることが、優勝につながる要因にもなります。

 今場所は肌艶がいいというか、体に張りがあります。左右の手をしっかり伸ばし、体と足が一緒になって出ていく大栄翔らしい内容が目立ちます。爪先立ちで足を運ぶ珍しいタイプ。一般的には安定感に欠ける印象ですが、九重親方(元大関・千代大海)のように、その体勢でもうまく力に変えることができています。常識的にはタブーでも、それを自分のものにして、武器にしているのは感心します。

 役力士でただ一人勝ちっ放し。優勝経験もあり、荒れる場所で十分主役を張れる存在だと太鼓判を押せます。(元横綱・稀勢の里)

続きを表示

2023年3月17日のニュース