【玉ノ井親方　視点】高安　膝の不安なし　V狙える

大相撲春場所5日目 （ 2023年3月16日    エディオンアリーナ大阪 ）

宇良（左）に厳しい攻めを見せる高安（撮影・北條　貴史）
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　右膝下部のケガで初場所を途中休場した高安が、序盤を全勝で乗り切った。宇良戦はうるさい相手の動きをよく見ながら、距離を保って取ったのが良かった。懐に入られないよう、突き上げるような突っ張りで宇良の上体を起こし、最後は右から突き落とした。この日の取組を見る限り膝の不安は全くない。場所前の充実した稽古をうかがわせるように体もパンパンに張っていて、優勝争いに絡んでいた頃の良い状態に戻っている印象だ。

　33歳のベテランだが、若い頃に先代師匠の故鳴戸親方（元横綱・隆の里）に猛稽古で鍛えられたおかげで稽古の貯金もある。優勝を狙える力は十分だ。ただ、問題は精神面。これまで何度も賜杯を抱くチャンスがあったのに、土壇場でメンタルの弱さが出てものにできなかった。今場所は相撲内容も良いので、このまま一気に波に乗っていってもらいたい。　（元大関・栃東）