所要1場所で新十両昇進“怪物”落合の強さの原点 恩師が語る群を抜いた強さ支える3つの要因

[ 2023年3月1日 04:22 ]

関取に着用が許される白まわしを初めて締めて稽古する落合
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 大相撲春場所(12日初日、エディオンアリーナ大阪)で、昭和以降初となる所要1場所での新十両昇進を果たした落合(19)が28日、関取の象徴である白まわしを締めて都内の宮城野部屋で稽古を行った。“令和の怪物”と称される大器の凄さはどこにあるのか。高校卒業後の1年間も含め4年間指導してきた鳥取城北高相撲部顧問の谷本将也教諭(27)に話を聞き、強さの原点を探った。

 落合の母校・鳥取城北高は全国高校総体2連覇中で、これまでに横綱・照ノ富士(31=伊勢ケ浜部屋)ら17人もの関取を輩出した全国屈指の強豪校。その中でも群を抜いていたという落合の強さには、大きく分けて3つの要因があった。

 1つ目は「勝負強さ」。1年時からレギュラーとして出場した全国大会の通算戦績は、3年間で71勝3敗。1年時には現・十両の熱海富士ら上級生を相手に2敗しているが、2、3年時には48勝1敗(勝率98%)という驚異的な成績を残している。どれだけ強くても勝ち続けることは精神面も含め難しいこと。一戦一戦を確実に勝ちにいく勝負強さが際立っていた。

 2つ目は「自主性」。日本一厳しい稽古として知られる同校相撲部の全体練習をこなしてからも1人で残ってトレーニングに励んだり、自由時間を使ってジムに行ったりと努力を重ねた。谷本教諭は「自分で伸びていくことが最大の強み。相撲にかける意識が凄い」と分析した。

 3つ目は「探究心」。自分を限界まで追い込みながらもオーバートレーニングにならないよう、効率の良いトレーニング方法を先生に聞いたり、独学で本を読んでケアの仕方を調べたりもした。また、申し合い稽古ではあえて相手にもろ差しを許してから取るなど“ハンデ”をつけて工夫した。これらは、栄養学を独自に学び、不利な展開を想定した稽古方法を取り入れた大関・貴景勝(26=常盤山部屋)に通じるものがある。

 谷本教諭は「強くなるべくしてここまで来た」と教え子を評価。成長ぶりを見てきたからこそ、史上最速新十両という歴史的偉業もそれほど驚く結果ではないという。パワーや技術が優れているのはもちろんのこと、自主性や探究心といった精神面に長所があるため「これからもっと強くなる。絶対に強くなるはず」と今後のさらなる成長を確信している。

 ◇落合 哲也(おちあい・てつや)2003年(平15)8月22日生まれ、鳥取県倉吉市出身の19歳。小4から相撲を始め、鳥取西中3年時に白鵬杯優勝。鳥取城北高2、3年時に高校横綱を獲得。22年9月、全日本実業団選手権で優勝。宮城野部屋に入門し、今年初場所、幕下15枚目格付け出しで初土俵。同場所で幕下優勝。1メートル81、153キロ。

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