早大 100周年迎えた“伝統の定期戦”飾る 後半、佐藤の連続トライで逆転

[ 2022年11月24日 05:06 ]

ラグビー関東大学対抗戦Aグループ   早大19―13慶大 ( 2022年11月23日    東京・秩父宮ラグビー場 )

<慶大・早大>後半、逆転トライを決め歓喜する早大・佐藤(左から2人目)ら(撮影・久冨木 修)
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 1922年の初対戦から100周年を迎えた伝統の定期戦は早大が19―13で慶大を下し、5勝目(1敗)を挙げた。早大は0―10で迎えた後半にFW第3列から今季フッカーに転向した佐藤健次(2年=桐蔭学園)の連続トライで逆転。晴れの特異日で知られる11月23日に、3年ぶりに降った雨の中のゲームを制した。定期戦(対抗戦)での通算対戦成績は、早大の72勝20敗7分けとなった。

 鉛色の雲と雨を吹き飛ばさんばかりに、佐藤が天に向かって吠えた。10点ビハインドの後半9分、ラインアウトモールを押し込み1トライ目。その5分後にはモールで前進してから逆サイドを突いて逆転トライ。いずれもド派手なガッツポーズで喜びを爆発させ「みんなが寄ってきてくれた。チームが一つになった証拠」と話した。

 6日の帝京大戦に17―49で完敗。翌週のFWミーティングでは、午後9時から日付が変わるまで激論を交わした。昨年度から主力の佐藤は、2年生ながら遠慮なく思いをぶつけた。「(大学選手権決勝まで)残り9週間、俺はラグビーに懸ける。みんなも懸けてほしい。この負けは変わるチャンスだ」と。その日を機に一番声を出し、自身の熱い思いにチームを巻き込んだ。

 佐藤の献身が実を結んだのが、後半の逆転劇だった。前半はキックゲームでの守勢が失点につながったが、ハーフタイムに大田尾竜彦監督が「マインドとして、もう少しアグレッシブにいこう」と指示。ロースコアの展開で、敵陣で試合を進めたことが計3トライとして実った。思い通りの試合運びにならなくても、一人として下を向かなかった早大。CTB吉村(4年)も「低学年の佐藤を中心に、そういう人(ムードメーカー)がいるのはありがたい」と称えた。

 すでに対抗戦優勝を逃した中で行われた100周年の早慶戦。大田尾監督は「消化試合とは言わないが、ターゲットが難しくなるところで、伝統の一戦は燃えるものがある。100周年まで続いてきたことに感謝」としみじみ語った。若人たちの魂のぶつかり合いが、また歴史の一ページとなった。

【早慶戦アラカルト】

 ▼初対戦 慶大に遅れること19年後の1918年に創部した早大が対戦を申し込み、1922年に三田綱町グラウンドで初対戦。ルーツ校の慶大が14―0で勝利した。なお野球の早慶戦は1903年に初対戦が行われている。

 ▼対戦成績 定期戦の対戦は戦争による中断もあり、今回が99回目で、早大の72勝7分け20敗に。引き分けを挟んで早大の11連勝となった。最多連勝は63~76年に記録した14連勝となっている。(いずれも大学選手権を含まず)

 ▼晴れの特異日 11月23日は東京では晴れの特異日であることから、1922年の初対戦を前に同日の対戦が決まり、以後もかたくなに守られている。100周年の今年は19年以来3年ぶりの雨中の対戦となった。

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2022年11月24日のニュース