狼雅「少し時間かかった」入門から4年で新十両 高校横綱のプレッシャー乗り越えようやく開花

[ 2022年9月28日 12:06 ]

新十両昇進会見を行った狼雅(右)と師匠の二子山親方(日本相撲協会提供)
Photo By 提供写真

 大相撲九州場所(11月13日初日、福岡国際センター)での新十両昇進が決まった狼雅(23=二子山部屋)が部屋からオンライン会見を行った。

 入門から4年、元大関雅山が興した二子山部屋から初めての関取誕生となった。「(昇進が)決まってうれしいです」と笑顔。「少し時間かかった。何度も決めるチャンスあった」と振り返るように、入門時から期待されながらようやくつかんだ関取の座だった。

 自然豊かなロシアのトゥバ共和国で生まれ、14歳の時にモンゴルで相撲を始めた。鳥取城北高3年時には高校横綱を獲得。デビュー4場所目で幕下まで番付を駆け上がったが、その後足踏みが続いた。昨年初場所は幕下2枚目で3勝4敗。「気持ちの面でもっと強ければその時決めたかった」と1度目の大きなチャンスは逃した。その後は勝ち越しと負け越しが交互に続き、今年の春場所からしこ名の下の名前を「外喜義(ときよし)」に変更。鳥取城北高相撲部総監督で校長の石浦外喜義氏から名前をもらった。改名の効果もあり、そこから4場所連続勝ち越してついに十両昇進を決めた。

 会見に同席した師匠の二子山親方(元大関・雅山)は「ホッとした気持ちが一番。約2年幕下上位でキツい土俵が続いていた。ようやく上がれてうれしい」と、部屋創設から4年半での関取誕生に安堵(あんど)した。「精神面で緊張することがある。高校横綱を獲ったことがプレッシャーになって彼らしさが出なかった。相撲を小さくしてしまったのかなと思う」と、逸材を預かる師匠としての苦悩があった。それでも稽古に励んで自信をつけた愛弟子を思い「すんなり上がるよりは時間をかけた分うれしさが増しています」と感慨深げ。「十両では爆発してどんどん上に上がってほしい」と期待を込めた。

 狼雅の同学年には、豊昇龍、琴勝峰、王鵬と既に幕内で活躍する力士が3人もいる。豊昇龍は全国高校総体の決勝で戦った相手。先を行く同世代への意識は「特にないです」としながらも「そのうち追いつきます」と静かな闘志を燃やした。「まずは勝ち越し目指して頑張りたい。幕内上がりたいです」。幕下上位で苦労した分、遅咲きの大器は早くも次の番付も見据えていた。


 ◇狼雅 外喜義(ろうが・ときよし)本名=アマルトゥブシン・アマルサナー。1999年(平11)3月2日生まれ、ロシア・トゥバ共和国出身の23歳。14歳でモンゴルに移住。15歳で白鵬杯中学生の部8強。16歳で来日し、鳥取城北高に相撲留学。2年時に全国高校総体8強。3年時に全国高校総体優勝(高校横綱)、全国選抜十和田大会準優勝、全国選抜宇佐大会3位、全日本選手権64強。卒業後、二子山部屋に入門。18年九州場所で初土俵。19年初場所で序ノ口優勝。19年春場所で序二段優勝(決定戦で照ノ富士に勝利)。1メートル84、146キロ。

続きを表示

2022年9月28日のニュース