15歳玉井陸斗銀メダル 男子高飛び込み日本最年少&01年寺内以来の表彰台「めちゃくちゃうれしい」

[ 2022年7月5日 05:20 ]

水泳世界選手権 最終日 ( 2022年7月3日    ハンガリー・ブタペスト )

水泳世界選手権の男子高飛び込みで獲得した銀メダルを手に笑顔の玉井陸斗と、女子シンクロ板飛び込みで銀メダルの金戸凜(右)、三上紗也可組
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 男子高飛び込み決勝で、玉井陸斗(15=JSS宝塚)が488・00点で2位となり、日本勢最年少で表彰台に立った。直前に行われた女子シンクロ板飛び込み決勝の金戸凜(18=セントラルスポーツ)、三上紗也可(21=日体大)組に続く銀メダル。日本勢のメダルはこれまで01年福岡大会の「銅」2つのみで、寺内健の3メートル板飛び込み、宮崎多紀理、大槻枝美ペアのシンクロ高飛び込みを上回る史上最高成績となった。

 緊迫の場面にも動じず、玉井が水しぶきを立てずに水中に消えた。4位で迎えた最後の6回目。得意の5255B(後ろ宙返り2回半2回半ひねりえび型)を鮮やかに決めて95・40のハイスコアを叩き出した。直前に実施された女子シンクロ板飛び込みの金戸、三上組に並ぶ日本史上最高タイの銀メダル。東京五輪でワンツーだった中国勢の一角を崩し「状況はよく理解できてないが、めちゃくちゃうれしい」と興奮気味にまくし立てた。

 12歳でシニアデビューした19年4月の日本室内選手権で優勝して一躍注目を浴びた。それから約3年3カ月で身長は17センチ伸び、体重は9キロ増加。成長に伴い回転力が落ちる懸念もあったが、計画的な筋力トレーニングで逆に宙返りのスピードは増した。1メートル60、55キロとなった体を扱う能力も高まり、成長。東京五輪では7位と高飛び込みで00年シドニー五輪の寺内以来21年ぶりの入賞を果たした。

 今回は01年の福岡大会で寺内が獲得した板飛び込みの銅を上回り「寺内選手の記録を何度も塗り替えたが、これ以上ないくらいうれしい」と笑顔を見せた。五輪出場6度のレジェンドとは、練習をともにする間柄。試技までに30以上のルーティンをこなす26歳上の大先輩を参考に、今大会は演技の間の時間に体を動かしてジャンプの準備を整えるなど技以外にも気を配った。

 国際舞台の雰囲気に溶け込むため、今春の高校進学後は通学の電車の中で眠い目をこすりながら英単語帳と向き合う。大トリで行われた花形種目で歴史を動かしたが、目標は先。玉井は「中国選手に勝ったので自信になった。パリ五輪では金メダルを目指したい」と力を込めた。日本飛び込み陣は1920年アントワープ五輪の初参加以来、100年以上もメダルを手にしていない。15歳のエースはメダルだけでなく表彰台の一番上を目指す。

 【玉井 陸斗(たまい・りくと)】☆生年月日 2006年(平18)9月11日生まれ、兵庫県宝塚市出身の15歳。今春から兵庫・須磨学園高(神戸市)に通う。

 ☆サイズ 身長1メートル60、体重55キロ。あどけない笑顔とシックスパックの腹筋のコントラストがチャームポイント。

 ☆競技歴 小学1年時に開始。3歳から通っていたスイミングスクールの隣のプールで開催されていた飛び込み教室を体験したことが契機となった。入水時にしぶきが立たない“ノースプラッシュ”が快感となり、のめり込む。小学5年時から寺内と一緒に練習する。

 ☆競技一筋 シニアデビュー戦の19年4月の日本室内選手権に12歳で優勝後は、ケガ防止のため自転車に乗らず、体育の授業の球技は見学するなど競技に打ち込んできた。

 ☆好きな食べ物 焼き肉。特に牛タン。

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