同大アメフト部が「変わる」 日大を立て直した橋詰功ヘッドコーチが就任 その指導哲学とは
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挑戦に終わりはない。日大アメリカンフットボール部を2020年の甲子園ボウルへ導いた橋詰功氏(58)が今季、関西1部リーグの同志社大ヘッドコーチに就任した。立命館大出身の同氏にとっては、ライバル校への「転身」。1部と2部を行き来して、上位の壁を破れない同大をいかに変えていくのか。注目の指導者に話を聞いた。(堀田 和昭)
新しいスタートにふさわしい高揚感と緊張感がフィールドにあった。コロナ禍で全体を3グループに分けての練習でも、取り組む選手の目つきは違う。変革の年――。その舞台を作る橋詰ヘッドコーチは穏やかな人柄を口調ににじませた。
――就任までの経緯を教えてください。
「前任のチーム(日大)で昨年8月末まで契約が残っていて。ただ、そこまでやって、秋の試合が始まる直前の9月1日に監督が替わっては選手も大変だし、“(新監督が)決まったら、すぐに替わります”と言ってたんですけど、音沙汰がなくて、結局8月までチームにいました。で、夏頃ですかね、知人を通じて、同志社のOB会の方と会う機会があって。その時は何も(進路を)決めてなかったんですけど、改めて“本格的に(就任を)考えていただけませんか”と言っていただいて、OB会の方といろいろお話をする中でチャレンジしてみようかな、と決めました」
――決断の決め手となったのは。
「最初は、弱いというか、例えば地方にあって、全然強くないけど、甲子園ボウルを目指せるようなチームを一から作っていったら楽しいだろうな、と漠然と考えていて。同志社って、それからすると立派過ぎて(笑)、ちょっとイメージになかったんですけど、関西の大学フットボールにおいて、同志社が1部と2部を行ったり来たりっていう状況は寂しいな、という思いがあって。フットボールチームって強くするためには、やっぱり全体で100人、200人規模の人数が必要で、そのためには大学のキャパシティがある程度大きくないと難しい。そういう意味では同志社はトップクラスなのに、何かしらがうまくいかなくて、強くなれていない。関関同立って言われますけど、同志社だけが違う感じになっているのが“何でやろ”、と。もしかしたら、何か(自分が)できるんじゃないか、というのが大きかったかもしれません」
――アメフトのみならず、ライバル関係にある立命大OBの橋詰さんに同大から声がかかったのは驚きでした。
「私も、お話をいただいたOB会の方も、大学の名前とかはあまり意識してませんでした。ただ、外部に頼んででも、強くしたい、打開したいという感じは伝わってきました」
――実際に練習などを指導されて、チームの印象はいかがでしょう。
「単純な運動能力とか、サイズでいうと、僕は今まで恵まれたチーム(立命大、日大)でずっとやってきたので、そこに比べると明らかに厳しいですね。ただ、素質が結果に表れる確率は100%のはずはありません。どんなに能力があっても伸びない子は伸びないし、ダメかな、と思っていた子が上級生になったら活躍するケースもある。そういう意味では、このチームも可能性があるな、と感じます。いきなり立命大や関学大と真っ向勝負で勝て、というのは無理でも、そこを目標にするのは十分に可能だと思います」
――なるほど。
「そうなるための大前提としては、選手が一生懸命、真面目に取り組むことが絶対に必要なんですけど、そこに関しては、このチームは非常に強いですね。外様が来て、ああだこうだというのに対して、ちゃんと考えて、理解しようという姿勢が見えます。あと選手が自分の意見や疑問をちゃんと言ってきてくれて、伸びる素質はすごくあるな、と感じます」
――そういう点を踏まえ、チーム作りのビジョンは。
「僕はチーム作りを1種類しか知らなくて、それをやるしかありません。ファンダメンタル(基礎)、体づくりがあって、パワー、スピードをつけて、心身ともに成長しながら、素直に物事を考えて取り組める100何人が集まったら、それだけでチームは強くなります。今までのやり方を変えるつもりはないんですけど、そのための外的条件、学校の特色とかが違うので、そこは、やりながらアジャストしていくしかない。例えば、以前の学校には専用のトレーニングルームがあったのに、ここは…そんなはものはない、と(笑)。じゃあ、トレーニングはどうするのか、という所から始まるわけですね」
――ヘッドコーチとしても挑戦ですね。
「うまくいかないことがストレスになる一方、楽しみでもありますね。例えば昨日も、京都在住のOBが社長をされている会社に使ってない部屋があると聞いて、“ウェートトレーニング場で使わせてもらえませんか”とお願いに行ってきたばかりなんです」
――立命大や日大の指導経験を踏まえ、継続したり、変えていこうと思っている部分はありますか。
「確かに立命と日大で学生気質に違いはあったんですけど、結局は一緒なんですよね。こっちが一生懸命教えて、しっかり話をしてやれば、ちゃんと通じるのが分かりました。だから、ここへ来て、環境にアジャストしないといけないけど、指導の根幹の部分は変えるべきじゃないと思っています」
――最後に就任1年目の目標を聞かせてください。
「難しいんですけど、僕は常にチームを作るなら、日本一を狙わなあかん、と。実際には5年後、10年後かもしれないけど、今年は4位を目指そう、というのは違うという話は、学生にはしました。結果は別にして、例えば今年3勝するならAという選択肢、優勝できるかもしれんけど、1勝もできないかもしれないBという2つの選択肢があるなら、トップを目指せるBを取ろう、とは選手に言い続けています」
――学生の方の反応はいかがですか。
「4年生は“分かりました。でも、現実的な目標も持たせてください”って言ってました(笑)」
どこまでも穏やかな笑みでインタビューは終わった。ソフトな語りでも、揺るぎない信念と、逆境を楽しめる強さが一つ一つの言葉に潜む。あの危険タックル騒動で揺れた日大を立て直した手腕。同大が大逆襲する秋が待ち遠しい。
◇橋詰 功(はしづめ・いさお)1963年(昭38)8月1日、京都市出身、58歳。立命大ではWRとして活躍。1994年に立命大オフェンスコーチ(OC)に就任し、その年にチームは初の大学日本一。その後、オクラホマ大にコーチ留学し、帰国後、再び立命大のOCとしてライスボウル2連覇などに貢献する。系列校の高校で指導した後、2018年9月に日大監督就任。危険タックル騒動で崩壊寸前だったチームを立て直し、1年で1部(TOP8)に返り咲き、2年目の2020年に甲子園ボウルへ導いた。2021年8月末で3年契約が切れ、今季から同大ヘッドコーチに就任。
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