道具折れるアクシデントも 杉本9位も「自分のせい」北京五輪モーグル男子決勝

[ 2022年2月5日 21:59 ]

北京五輪フリースタイルスキー・モーグル男子決勝 ( 2022年2月5日    河北省張家口・雲頂スキー公園 )

モーグル男子、予選1回目でエアを決める原(AP)
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 予選1回目を6位通過していた杉本幸祐(27=デイリーはやしや)は、決勝2回目で75・73点にとどまり、9位で初の五輪を終えた。

 決勝2回目は滑走途中にストックの先が折れるアクシデント。そんな逆境にもめげず、ゴールまでしっかりと滑り切った。結果には「率直に悔しいという言葉に尽きる」と話したが、「まさかアイテムが折れると思っていなかったので想定外。ただ、もっとうまく対応できたらスーパーファイナル(決勝3回目)に立てたので、道具ではなく自分のせい」と言い訳はしなかった。

 中1で競技を始め、27歳で初舞台にたどり着いた苦労人。松本大を卒業し、実業団で選手生活を続ける予定だった17年には、全日本スキー連盟の強化指定から外れる苦難も味わった。2シーズンはスキー関連のアルバイトをしながら下部の国際大会を転戦し、19~20年シーズンにW杯へ復帰。今季W杯では初の表彰台(3位)に入り、総合ランキングでも4位に入る躍進を遂げた。不屈の男は、五輪の舞台でも輝いた。

 出身地は雪とはなじみの薄い静岡県袋井市。運動神経は抜群で、一番最初に始めたという空手は小6で黒帯を獲得し、野球に体操、水泳とジャンルを問わずに何でもこなした。昨夏の東京五輪では空手形男子で金メダルを獲得した喜友名諒の演武に感動したといい、自身の空手経験も「形では鏡で体の動きを見て、思うように動かせているかを確認する。その点はためになっている」と2度のエアがあるモーグルにも生かしている。

 中1の時には自分の競技のために、両親が一家での長野転居を決断してくれた。代表落ちした2年間は渡航手配からスキーの設定まで、全てを自分自身でこなしたことで周りに支えられるありがたみを知った。感謝の思いを込めた滑りは、見る者にもしっかりと伝わった。

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