船木和喜氏 飛距離か飛型点か…初体験のジャンプ台で沙羅の経験値が生きる試合中の対応

[ 2022年2月5日 05:30 ]

北京で練習に臨む高梨(AP)
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 【今日のツボ教えます ジャンプ女子・船木和喜】 ノルディックスキー・ジャンプの公式練習は4日、張家口の国家ジャンプセンターで行われた。女子のエース高梨沙羅(25=クラレ)はジャンプ台の風の傾向をしっかり確認。きょう5日の個人戦本番に臨む。高梨悲願の金メダル挑戦を、98年長野五輪ジャンプ2冠の船木和喜(46)が占った。

 平昌五輪後、この4年間の高梨は新しい流れに食らいつき、試行錯誤の末、自身の長所に回帰したと感じている。

 女子W杯の草創期は完成度の高さで連戦連勝だったが、ここ数年は男子選手同様、パワーを高めて踏み切りから高い角度で飛び出していく欧州の若手選手が台頭。高梨自身もフィジカルトレーニングを充実させ、より高い飛び出しのパワフルなジャンプを追求した。しかし、体格の異なる海外勢と同じフィールドで戦うことに限界を感じたのだろう。今季は徐々に飛び出しの角度を低く、前方へという以前のスタイルに戻し、先月1日にはW杯で勝利した。

 元に戻した=後退ではない。フィジカル強化は結局、踏み切りで生み出す推進力というパワーにつながっており、世界トップクラスだった空中姿勢の安定感は本来のものを取り戻した。ハイブリッド、といえばいいだろうか。最近は着地姿勢でテレマーク姿勢がとれずに飛型点が伸びないケースもあったが、これは着地より飛距離を優先した“攻め”の姿勢の表れで、悪いことではないと思う。

 そしてメダルの色を分けるのは、その着地にある。ノーマルヒルは飛距離の差がつきにくく、飛型点の重要度は高まる。ほとんどの選手が初体験となるジャンプ台の特徴を早くつかみ、飛距離を伸ばすのか飛型点を稼ぐのか、試合の中で決めていかなければならない。その難度の高い課題にこそ、11シーズン連続でW杯勝利を挙げている高梨の“経験値”が生きるとみている。(98年長野五輪スキージャンプ2冠)

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2022年2月5日のニュース