組織委がコロナ対策専門家会議を開催「五輪と同じことをやっていたら具合が悪いのでは」

[ 2021年8月20日 15:08 ]

パラリンピックで使用される国立競技場
Photo By スポニチ

 東京五輪・パラリンピック組織委員会は20日、新型コロナウイルス対策を議論する専門家会議を開き、東京五輪を総括するとともに、24日開幕の東京パラリンピックへ向けた対応を話し合った。座長を務める岡部信彦・川崎市健康安全研究所所長は「前半戦もかなりきつかったが、五輪を契機に感染が大きく染み出たとか、そこでの大きな爆発がなかったのは非常に幸いなこと」と五輪を総括しながらも、「後半戦へ向けて同じことをやっていたのでは具合が悪いのではないか。五輪と今日現在の状況は大きく違う。その状況でパラリンピックを開催する意義をもっと説明すべきでは。バックアップ態勢も議論があった」と対策向上の必要性を訴えた。

 5月の会議で五輪開催による人流発生の影響などを試算した東大大学院経済学研究家の仲田泰祐准教授からは「五輪による国内感染への影響」とのレポートが示された。海外入国者による影響は限定的としながらも、開催による感染拡大への間接的影響は「全く影響がないとは言いにくいが、ステイホーム観戦が人流減少に貢献した可能性もある」とし、「間接的影響を定量化することは非常に難しい」と結論づけた。

 組織委の中村英正・大会運営統括はパラリンピックへ向けた専門家会議からの指摘として、(1)パラ選手には五輪選手と比べて重症化のリスクがあり、よりきめ細やかな対応が必要(2)感染状況は悪化しており、五輪にプラスアルファの対策が必要(3)自宅観戦がパーティー等にならないよう無観客の意義をメッセージで伝える必要性、を挙げた。今後の対策としては五輪で伝達に時間がかかった検査結果通知の迅速化、パラ選手の介助者が濃厚接触者となった場合の対応、五輪で感染者が多かった業務委託スタッフ、とりわけ選手村に出入りする関係者に対する検査頻度を高める、などを検討しているとした。

 岡部所長は先月、入院が必要な人が入院できない状況ならば大会中止を検討すべきとの意見を語っているが、「場合によっては中止も含めて考えて、常に俎上(そじょう)に乗せていくべきという意見は変わらない」とコメント。開催しても地域医療をひっ迫させないのか、と問われると「今日の時点で言えばそうだと思う。ただし流動的なので、逐次情報を入れながら判断していくことになる」と見解を示した。

続きを表示

2021年8月20日のニュース