素根 親友・阿部詩に続いた!何でも話せる仲 17年金鷲旗決勝での対決は語り草に

[ 2021年7月31日 05:30 ]

東京五輪第8日 柔道女子78キロ級 ( 2021年7月30日    日本武道館 )

17年の全国高校柔道選手権大会、女子無差別級で優勝した素根(右)とメダルを手に笑顔でポーズを取る女子52キロ級で優勝した阿部
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 女子52キロ級で金メダリストになった阿部詩と同じミレニアムイヤー(2000年)生まれの素根が、盟友に続く金メダルを獲得。勢いに続けたか?との問いに「だいたい先にあっちが試合なので、あまりそこは意識してない」とかわしたが、「必ず獲る気持ちで戦った」とうなずいた。

 2人の出会いは小4の頃の試合。すでに相当のサイズ差があり素根が圧勝したものの、互いの存在を知ることになった。中学生になると2人とも全国大会で活躍し、ジュニアの強化合宿に呼ばれるように。初めて会話したのもその頃で、徐々に打ち解けていった。

 階級が大きく異なるため、小学校卒業後は試合や稽古をする機会はほとんどなかった2人だが、語り草になっているのが17年7月、体重無差別の団体戦の金鷲旗決勝だ。夙川学院の阿部は先鋒(せんぽう)を務め、副将まで圧巻の4人抜き。迎えた大将の素根戦。身長差はわずか4センチの2人だが、さすがに5階級の差は埋めがたく、開始15秒で素根が小外刈りで技ありを奪った後、そのまま倍ほどの体重を乗せて勝利。伝説の5人抜きへとつながった。

 仲の良さを物語るのが、この時のエピソード。横四方固めから逃れようとした阿部だが、顔の上に素根の腹が乗り、まともに息ができない状態だった。そこで抑え込みは維持しながら、体を浮かして阿部の呼吸を確保した素根。真剣勝負の中にも、盟友への優しさを見せた思い出の試合になった。

 17年には素根が世界選手権の男女混合団体戦代表に選ばれ、現地から兄・一二三の試合を国際電話で実況した。翌18年には阿部が個人戦で初出場し初優勝。19年は初の同時出場で共に優勝すると、同年11月に今度は素根が先に東京五輪代表に内定。翌年2月、国際大会で優勝した阿部も、代表に内定した。

 海外遠征の飛行機では隣同士で座り、宿舎も常に同部屋。互いに家族にも話せないことも話せる盟友であり、戦わずともライバル関係の2人。日本の女子柔道界に新時代の到来を告げるダブル金メダルとなった。

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2021年7月31日のニュース