同じ日に勝った堀琴音と畑岡奈紗 よみがえる5年前の記憶 再び交わる運命

[ 2021年7月12日 10:30 ]

<ニッポンハムレディース・最終日>18番、ウイニングパットを決めガッツポーズを見せる堀琴音(撮影・西尾 大助)
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 【福永稔彦のアンプレアブル】11日に終了した国内女子ゴルフツアー「ニッポンハム・レディース」で、プロ8年目の堀琴音(25=ダイセル)がツアー初優勝を飾った。

 同じ日に海の向こうでは、畑岡奈紗(22=アビームコンサルティング)が「マラソン・クラシック」で2年ぶりとなる米ツアー4勝目を挙げた。

 偶然の巡り合わせ。5年前の記憶がよみがえった。しまい込んでいた古い取材ノートを取り出し、ページをめくった。

 16年の日本女子オープンは9月29日~10月2日に栃木・烏山城CCで開催された。この大会で堀と畑岡は優勝争いを演じた。

 秋晴れとなった最終日。当時20歳の堀は首位と2打差の2位、高校生3年生だった畑岡は4打差の5位でティーオフを迎えた。

 堀は前半2バーディーを奪い首位に浮上しながら11、12番で短いパーパットを外し後退。代わって10、12、13番でバーディーをマークした畑岡がトップに立った。

 堀も諦めない。14番のバーディーで追い付き、16番をボギーとした畑岡を逆転し単独首位に返り咲いた。

 しかし、終盤までもつれたマッチレースを制したのは畑岡だった。18番で4メートルのバーディーパットを沈めて通算4アンダーで先にホールアウト。17番でボギーを叩いた堀を1打差で振り切り、大会初のアマチュア優勝を飾り、大会最年少優勝記録を更新した。

 取材ノートには畑岡のコメントが走り書きされている。「次の目標は?」という質問に17歳の高校生は「米ツアーのQT(出場予選会)があるので、それをしっかり突破することです。全米女子オープンで優勝すること、東京五輪で金メダルを獲ることです」と答えている。

 22歳になった畑岡は既に米ツアーの看板選手の1人である。今年の全米女子オープンではプレーオフまで進出し、東京五輪の金メダル候補に挙げられる。5年前に公言した目標の1つをクリアし、残りの2つにも着実に近付いている。その事実に改めて驚かされる。
 一方、アマチュアに敗れた堀は「優勝争いのプレッシャーはなかったけれど、終わってみてプロが優勝しなきゃというのを一番感じている」という言葉を残している。

 決めればプレーオフとなる18番のバーディーパットを外して、うつむいた姿が脳裏に焼き付いている。ただその時は、勝つまでにそれほど時間はかからないとも考えていた。

 あれから5年。シード落ちも経験した堀はようやく優勝の喜びを味わうことができた。インタビューで流した涙に、苦しかった時間が凝縮されているように思えた。

 今年の日本女子オープンは5年ぶりに烏山城CCで開催される。堀と畑岡は既に出場資格を持っている。全く違う景色の道を歩いてきた2人の運命は再び同じ舞台で交わるのだろうか。(スポーツ部専門委員)

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