大坂 全豪前哨戦は準決勝棄権、森会長発言に不快感「とても無知に感じる」

[ 2021年2月7日 05:30 ]

女子テニス ギプスランド・トロフィー第6日 ( 2021年2月6日    オーストラリア・メルボルン )

 全豪オープンの開催地メルボルンで記者会見する大坂(Tennis Australia・共同)
Photo By 共同

 準決勝を肩の痛みで棄権した世界ランキング3位の大坂なおみ(23=日清食品)が、東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(83)の一連の女性蔑視発言について、「いいことではないと思う」などと不快感を示した。2度目の優勝を果たした昨年の全米オープン期間には、黒人差別に対して抗議。今やスポーツ界を代表するオピニオンリーダーは、組織委など森氏周辺にも注文を付けた。

 世界ランク20位のメルテンス(ベルギー)との準決勝を棄権した大坂は午後に会見し、18年に発症した肩の痛みが連戦で再発したと説明した。さらに「十分な休養を取ることが主な目的」とも話し、2度目の全豪制覇へ大事を取っての措置であることを強調した。

 一方で、前日は「まだちゃんと読んでいないから分からない。明日聞いてみて」と回答した森氏の発言については冷静に、しかし、舌鋒(ぜっぽう)鋭く「いいことではないと思う。あのコメントの背景や、彼の周囲の人たちの考え方も知りたい」と、不快感を示した。

 国内はもちろん、海外からも森氏の辞任を求める声は日増しに高まり、ネット上では電子署名の賛同者が10万人を超えている。辞任すべきか?と問われた大坂は「私はテニス選手なので…」「分からない」と意見は保留しながらも「こうした発言をする人は、もっと知識を得ることが必要。今回の発言は、とても無知に感じる」ときっぱり。さらに「周りの人間も発言は正しくないと、彼にはっきり理解させる必要がある」と続け、組織委や発言の行われた会議に同席した日本オリンピック委員会(JOC)関係者にも注文を付けた。

 大坂といえば昨年の全米前哨戦で警察官による黒人男性射殺事件に抗議の意思を示し、一度は棄権を表明したオピニオンリーダー的存在だ。全米本番では命を落とした黒人犠牲者7人の名前が記されたマスクを用意。優勝ですべてを披露すると「人々が(人種差別の)議論を始めてくれればいい」と世界に問題を提起した“実績”もある。

 組織委が必死に幕引きを図る中、波紋は現在も世界中に広がっている。「東京五輪は間違いなく楽しみ」と、改めて大会の無事開催を願う大坂にとっても、祖国から発信された「無知(Ignorant)」な発言は、決して看過できなかった。

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2021年2月7日のニュース