松島二世が連覇のカギ握る!大畑大介氏が高ラグ決勝のキーマンに桐蔭学園FB矢崎を指名

[ 2021年1月8日 05:30 ]

大畑大介氏
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 第100回全国高校ラグビー大会決勝は9日に大阪府東大阪市の花園ラグビー場で行われる。大会連覇を狙う桐蔭学園(神奈川)が、初優勝を目指す京都成章(京都)の挑戦を受ける構図だ。テストマッチ通算69トライの世界記録を持ち、ラグビー世界殿堂入りも果たした大畑大介氏(45)が注目選手をピックアップ。桐蔭学園は松島幸太朗(27=仏クレルモン)の系譜を継ぐFB矢崎由高(1年)を、京都成章はSO大島泰真(2年)をキーマンに挙げた。

 60分間トータルでの戦い方を熟知する桐蔭学園が優勢と見ます。力強さとテクニックを備え、ゲーム理解力の高さ、それを実行できるだけの力、懐の深さがあります。経験値の高さも含めて毎試合で成長を感じます。

 No・8佐藤、ロック青木、フッカー中山を擁するFW陣は強力ですが、キーマンには1年生のFB矢崎を挙げます。ハットトリックを決めた準決勝の大阪朝鮮高戦は圧巻でした。後半3分に巧みなステップで抜け出し、外側の選手へパス。同じく1年生のWTB松田からリターンパスを受け、右中間へ勝ち越しのトライを決めました。同23分と30分にはSO中の防御の裏を突いたキックをうまく拾い上げ、インゴールで押さえました。

 味方が蹴ったボールに対するリアクションの良さ、ボールの転がり方を予測できる力、裏のスペースの押さえ方。相当レベルの高いプレーが光りました。とても1年生とは思えません。重圧を感じるどころか、試合を楽しむ余裕すら感じました。まだ今が完成形ではないので、余計に今後の楽しみが募ります。

 桐蔭学園の15番といえば、日本代表FB松島も背負った番号です。名門の15番を背負うだけの逸材で、7人制日本代表候補の藤田(パナソニック)を思わせるような選手です。これからまだまだ体も大きくなるだろうし、ボールキープ力や安定感も高まるでしょう。レベルの高い桐蔭学園で1年生からレギュラーで出ていること自体がすごいことです。

 対する京都成章は防御に秀でたチームです。防御からリズムをつくれるし、初の決勝進出で気力は充実している。巨漢ロックの本橋が攻守でチームを引っ張っています。FWを前面に押し出してトライを取り切るところ、ボールを大きく展開してトライを狙うところなど、2年生のSO大島がうまくゲームをコントロールしています。決勝戦は彼のゲームメークが勝敗に直結するかもしれません。

 湯浅監督にお伺いしたところ「今大会は大島の成長が大きい」とおっしゃっていました。大島は京都決勝ではFBでした。今大会は彼をSOに固定できたことで、能力の高い辻野をFBやCTBなどさまざまなポジションで使うことができる。大島がいるからできるオプションです。視野が広い選手で、キックも抜群にうまい。準決勝・東福岡戦の後半5分にキックパスを通してWTB倉田がトライを挙げたシーンは、まさに大島の視野の広さが生きたプレーでした。

 京都成章が勝機を見いだすとすれば、前半からリードして試合を進めていくことが大前提です。チームの完成度という点では桐蔭学園に分があると感じるので、準決勝同様、序盤からエンジン全開で向かうこと。勢いをぶつけてほしい。

 ◆矢崎 由高(やざき・よしたか)2004年(平16)5月12日、新潟県生まれの16歳。5歳から高槻ラグビースクール(RS)で競技を始め、芝谷中ではサッカー部に所属しながら吹田RSでもプレー。50メートル走6秒1。FB、WTB。1メートル80、77キロ。

 ◆大島 泰真(おおしま・たいしん)2003年(平15)7月14日生まれ、京都府出身の17歳。小学生の時にKiwi’sラグビークラブで競技を始め、藤森中でプレー。50メートル走6秒4。SO、FB。1メートル69、74キロ。

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