阿炎 新婚だけど強制別居 幕下から出直し 引退届は協会預かり 今後“有事”に受理

[ 2020年8月7日 05:30 ]

日本相撲協会を訪れた阿炎(左)と師匠の錣山親方(元関脇・寺尾)
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 日本相撲協会は6日、東京・両国国技館で理事会を開き、新型コロナウイルス禍の中で外出して接待を伴う夜の店で会食した幕内・阿炎(26=錣山部屋)に対し、出場停止3場所および5カ月50%の報酬減額の処分を決めた。7月場所中に出されていた引退届は、再び問題を起こした場合に受理することや、それを了承する誓約書の提出、住居を錣山部屋に移すことを条件として預かりのままとした。当面は外出禁止とし、今後迷惑を掛ける行為があった場合は受理する。

 理事会は2時間半に及んだが、阿炎の議題だけで2時間近くが費やされた。阿炎、錣山親方(元関脇・寺尾)の話を聞いた上で最初に議論となったのが、引退届を受理するかどうか。芝田山広報部長(元横綱・大乃国)によると、理事からはさまざまな意見が出て、「処分を重くして残す方法はないか」という声もあったという。意見が分かれる中で採決となり、受理しないことが決定した。

 不要不急の外出自粛が通達されている中、外出して会食していたことが発覚した阿炎は当初、コンプライアンス委員会の聞き取り調査に会食は「2度」と話していた。だが、それが虚偽であり、実際は7月7日ごろと17日、7月場所中の20日(2日目)、24日(6日目)と最低でも4回は同じキャバクラに出入りしていたことが判明。しかも、同席した幕下・極芯道には口裏合わせを要求していたことも分かった。

 昨年11月に悪ふざけで十両・若元春の手足や口などを縛った動画を投稿。今年2月にはSNSに関する研修会について「寝ていたから何も聞いていない」などと不適切発言した経緯も踏まえ、コンプライアンス委員会は「多くの協会員が窮屈な生活に耐えている中、無自覚で軽薄な行為。出場停止の懲戒処分とするのが妥当」と答申したが、理事会は3場所の出場停止だけでなく、さらに5カ月50%の報酬減額も付け加えた。

 それでも角界には残れることになった。意思確認された阿炎は「戻りたい気持ちはある。自分がやってしまったことの責任は感じている」と話したという。明るい性格に実力も兼ね備えた人気力士ながら、錣山親方が「大人になりきれていない子供」と言うように精神面の弱さがある。6月に結婚し都内の自宅で新婚生活をスタートさせたばかりだが、理事会は錣山部屋に住居を移させることも決めた。

 7月場所で3勝4敗8休だった阿炎は、9月の秋場所が幕内下位、11月場所は十両下位、来年1月の初場所は幕下となる。復帰可能となる3月の春場所は幕下下位からの出直し。温情とも言える相撲協会の処分に報いるには、土俵で結果を出していくしかない。

 【解説】阿炎や師匠の錣山親方は引退を覚悟していた。日本相撲協会のコンプライアンス委員会の答申は引退届を受理する前提での出場停止処分だった。理事会でも「(角界に)残す余地なし」と断じる意見があったという。

 厳重な感染防止策を敷き、4カ月ぶりの再開となった7月場所は、協会員が原則的な外出禁止という我慢と緊張感を持って開催された。不安を与えた阿炎の無神経な行動は反感を買い、調査での虚偽説明は悪質といえる。過去にも不適切な動画投稿などでトラブルを起こしていた。

 一方、法律違反ではなくコロナ禍の状況でなければ問題行動とも言えない。幸いにも協会員に陽性者は出なかった。芝田山部長は「処分の重さを肌で感じてもらって、師匠の管理下でしっかりとした大人になるように頑張ってほしい」と話した。最終的には温情も働き、引退届を協会が預かったままという異例の形で、力士生命が土俵際で救われた。

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