荒磯親方 朝乃山よ頭を使え!出稽古できず4カ月ぶり本場所は混戦必至

[ 2020年7月19日 05:30 ]

荒磯親方
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 4カ月ぶりの本場所となる大相撲7月場所は19日、東京・両国国技館で初日を迎える。新型コロナウイルスの影響で夏場所は中止となり、力士たちは場所前の出稽古ができないまま土俵に上がる。難しい調整の中、45度目の優勝を狙う横綱・白鵬(35=宮城野部屋)、新大関の朝乃山(26=高砂部屋)、カド番大関の貴景勝(23=千賀ノ浦部屋)らはどんな相撲を取るのか。本紙評論家の荒磯親方(元横綱・稀勢の里)が展望を語った。

 新大関の場所を迎える朝乃山には安定感があります。場所前に出稽古はできませんでしたが、今まで積み重ねてきたものがあり、体力面などは気にすることはありません。ただ、感覚が鈍っているところはあるはずなので、よりしっかり考えながら相撲を取っていった方がいいでしょう。

 注目の初日は隆の勝、2日目は遠藤とタイプの違う力士との対戦になりました。隆の勝には春場所で圧力勝ちしていますが、いくら実力差があっても突き押しには一発でもっていかれる可能性があります。初日の緊張感もあり、要警戒です。私の感覚では、内容よりも勝ちにこだわっていくべきです。技巧派の遠藤に対しては、逆に早く攻める必要はありません。得意の右四つになるまで自分からは出ないぐらいの気持ちが必要です。

 貴景勝は春場所で負け越しましたが、それが突き押しの怖さでもあります。波に乗ればいいのですが、なかなか戻れる場所がないのも突き押しです。波に乗っていくには、やはり勝ち星しかありません。初日は豊山、2日目は阿武咲との対戦ですが、貴景勝は突き押しの相手は得意にしています。早めに突いてくる相手の下に入り込んで“後の先”で攻めていくのがうまく、相手には恵まれました。攻め急がず、独特の腰の決め方で勝っていければ、強い貴景勝が戻ってくるはずです。

 平幕の上位力士では、阿武咲が一皮むけた感じです。これまでは速く動けば勝てるという感覚があったのでしょうが、相撲は速く動き回った方が足を滑らせたり、はたかれたりして負けることがあります。阿武咲はそれが分かってきて、最近は下から入り込んで押すという相撲が出てきました。才能やポテンシャルは抜群。24歳は一番力が出る時期でもあるので、大関を目指していってもらいたいです。

 優勝争いはやはり白鵬が中心でしょう。自分のことをよく分かっているし、無観客だった春場所のように特別な場所で力を発揮します。夏場所が中止になったことで痛いところも全部治してくるはずで、強い横綱が出てくるでしょう。(元横綱・稀勢の里)

 【力士の新様式】
☆支度部屋の中 アクリル板で各関取の間を仕切る。マスクを必ず着用し、準備運動の時も外さない。取組後の髪結いは、可能な限り自分の部屋で行い滞在時間を短くする。床山がまげを結う時はマスクを外せるが、会話は最小限にとどめる。支度部屋の「密」を回避するため、相撲教習所を臨時の支度部屋とし、十両などの力士が使用する。
 ☆支度部屋の外 取組を行う力士は支度部屋を出たらマスクを外し、取組後は支度部屋に入る際に新しいマスクを着ける。花道奥では足元シールを貼り、密集を避ける。取材対応もウェブ会議システム「Zoom」を用いて、報道陣と接触せずにリモート取材で対応する。
 ☆部屋と国技館の往復 移動時はマスクの着用を徹底。途中の立ち寄り禁止(飲料購入のみ可能)。場所入り後は途中の外出禁止。ファンとは握手やサインなどで接触しない。
 ☆水回り 力水に口はつけない。ひしゃくは常に消毒する。支度部屋の湯船は使用せずシャワーのみ。共有タオルは使用せず持参のタオルのみを使う。

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