輪湖時代の幕開け――北の湖、初場所初日に見せた「憎たらしいほどの強さ」

[ 2020年5月8日 06:15 ]

1974年1月6日、大相撲初場所初日。横綱・輪島(中)を寄り切りで破る関脇・北の湖
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 【Lega-scene あの名場面が、よみがえる。~大相撲編~】昭和、平成の名場面をスポニチ本紙秘蔵写真で振り返る「Lega―scene(レガシーン)」。大相撲編は、1974年(昭49)1月6日、東京・蔵前国技館で行われた初場所初日の横綱・輪島―関脇・北の湖です。弱冠20歳の北の湖は、この一番から大横綱への道を駆け上がっていきました。

関脇2場所目の20歳が横綱を圧倒した。
ともに十分の左四つから先に仕掛け
輪島が「黄金の左」から繰り出す
下手投げにも揺るがない。
右上手を引きつけ
腹を突き出しながら寄り切った。
新年最初の結びの一番で
波乱を演出しても興奮などしない。
1場所前に左足甲を骨折して
不安はあったが
「引きつけが良かったから投げを残せた」
とふてぶてしく語った。

輪島には5連敗中だったが
3連覇を狙う横綱から挙げた1勝で
「憎たらしいほどの強さ」は加速した。
出場した1横綱3大関を総なめし
14勝1敗で初優勝。
場所後に大関に昇進した。
夏場所で2度目の優勝を果たすと
名古屋場所後に史上最年少21歳2カ月で
横綱昇進を果たした。

中学生だった13歳で
初土俵を踏んだ北の湖と
日大で輝かしい成績を残した輪島。
対照的な2人は激闘を続け
「輪湖(りんこ)時代」を築いた。
「一番思い出に残っている人」
という輪島がいたからこそ
北の湖の強さも際立った。

 《直接対決では輪島が23勝21敗》自身初の3連覇を目指した輪島は右手の負傷が響いた。人さし指と中指の間を裂傷しており、右からの厳しい攻めは見られなかった。取組後に「あと全部勝つつもりでいく」とぶち上げたが、2日目も小結・富士桜に敗れた。通算優勝回数は14回で、24回の北の湖に大きく水をあけられたが、直接対決では23勝21敗と勝ち越した。75年秋場所からは15場所連続で千秋楽結びの一番で対戦。優勝決定戦では2度対戦し、1勝1敗だった。

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2020年5月8日のニュース