ジョセフHC「信念貫いた」 3年で作り上げた肉体と戦術 決戦前の俳句で闘志

[ 2019年9月29日 05:30 ]

ラグビーW杯1リーグA組   日本19―12アイルランド ( 2019年9月28日    エコパ )

アイルランドを破り、スタッフとハグするジョセフHC(右) (撮影・久冨木 修) 
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 2度目の番狂わせへとつながる伏線は掛川市内の宿舎にあった。こわもてのジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチがスタジアムへの出発前、フィフティーンに5行の俳句を英語で読み上げた。

 「誰も勝つと思ってない。誰も接戦になるとも思ってない。誰も僕らが犠牲にしてきたものは分からない。信じているのは僕たちだけ――」。

 その言葉は選手を鼓舞するのに十分だった。試合前、相手のハイボール対策で左WTBに配置予定のトゥポウが左太腿裏の負傷で先発はレメキに変更。サモア戦で復帰予定の福岡をベンチに入れた。試合前のアクシデントに加え激闘の中でマフィが前半途中、早々とベンチに下がった。だが、緊急事態にも動じない。俳句を聞いたリーダー陣のSH流は「いろんなことを思い出した。やってやろう、と」と振り返った。

 最高の準備が花咲いた。競走馬を所有したこともある指揮官は勝負の鬼。前回大会より2カ月前倒しで2月から始動した。「世界一のフィットネス」を目指した6月の宮崎合宿では4部練習で追い込み、嘔吐(おうと)する選手も。「ボーっとして目の前が真っ白になった。体に力が入らず大も小も出そうになった」と稲垣。壮絶な練習で睡眠導入剤を服用した選手もいた。戦術面では緊急事態に備えて姫野やラブスカフニをゲーム主将で起用。築き上げた最強のフィジカルとブレない戦術が、ここ一番で発揮された。

 「信念を貫いた。(就任から)3年かけ、この試合に焦点を当てたと言ってもいい。今日はビールを飲みたい」。指揮官はジョークを交え、安堵(あんど)した表情を見せた。世界に衝撃を与えた金星も、まだ通過点。目標の初の8強へ、進撃は止まらない。  

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2019年9月29日のニュース