【砂村光信 視点】トンプソンが手本示した“低空タックル” アイルランドはパニックに

[ 2019年9月29日 08:47 ]

ラグビーW杯1リーグA組   日本19―12アイルランド ( 2019年9月28日    エコパ )

<日本・アイルランド>後半、相手を引きずり戻すトンプソン(撮影・篠原岳夫)
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 勝因はディフェンスとセットプレーだ。チーム全体のタックル成功率91%も見事だが、殊勲者1人を挙げるとしたらトンプソンを選びたい。1メートル96の38歳が誰よりも低くタックルに入るから、みんな続くことができる。途中出場のリーチも先頭に立って相手を倒し、勢いを呼び込んだ。

 スクラムはマイボールを100%キープして、相手ボールでもほぼ押されなかった。アイルランドは基本的にFWで勝つことを前提に試合を組み立てるチームで、昨年ニュージーランドを破った時もFWで優位に立っていた。だが、日本相手に前へ出られなくなった途端に、WTBストックデールやFBカーニーを使えなくなった。途中出場のSOカーベリーはただパスを回すだけ。できるはずのプレーができなくなり、チーム全体がパニックに陥っていた。

 対照的に日本は試合当日のメンバー変更やマフィの負傷交代にも動じなかった。そもそも主将のリーチをリザーブに回す布陣が可能となったのも、複数のリーダーが引っ張る大人のチームになったからだ。4年前はノーマークの状態で南アフリカに勝ったが、今回はホストユニオンとして相手に警戒された状況で優勝候補を倒した。既にティア1レベルの実力がついたと言ってもいいだろう。(元U―23日本代表監督)

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2019年9月29日のニュース