東京決めた!セーリング女子の吉田&吉岡組 470級世界選で銀獲得

[ 2019年8月10日 05:30 ]

セーリング470級世界選手権最終日 ( 2019年8月9日    神奈川・江の島ヨットハーバー沖 )

<セーリング470級世界選手権>銀メダルに輝いた吉田(左)と吉岡(撮影・会津 智海)
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 男女の上位10艇によるメダルレースが行われ、前回覇者の吉田愛(38)、吉岡美帆(28=ともにベネッセ)組が予選レースを合わせた総合順位で銀メダルを獲得した。3位以内で日本勢最上位の条件を満たし、2大会連続となる東京五輪代表に内定した。吉田は4大会連続の五輪出場。日本勢で同ペアの2年連続世界選手権表彰台は史上初めて。男子の岡田奎樹(23=トヨタ自動車東日本)、外薗潤平(28=JR九州)組はメダルレース失格となり、総合9位だった。

 リオ五輪金メダリストのミルズを擁する英国チームに目の前で優勝を決められても、吉田と吉岡の中には達成感があった。互いをねぎらい合い、コーチで吉田の夫・雄悟氏(35)とヨット上で握手を交わす。連覇は逃したが、吉田は「代表に内定できたことが一番。プレッシャーがある中で銀メダルを獲れて自信になった」と語り、吉岡も「ホッとしました」と安どの表情を見せた。

 前日までの11レースで英国チームとは1点差。「勝った方が金メダル」という大接戦の中で徹底的にマークを受けた。好スタートを切ったものの「前を切られて抑えられた」とペースを握ることができない。2周中1周を終えた第2マークを回る際、隙を突かれて先行され、最後は英国チームに続いて8着でフィニッシュ。それでも全レースを通して「大崩れすることなくコンスタントに戦えた」(吉岡)と及第点を与えた。

 ペア結成から6年目。当初は10歳の年齢差に「真逆の性格」も合わさってすれ違いが多かった。だが、5位に終わったリオ五輪後、吉田の出産のため1年間離れたことで、逆に互いの理解が深まった。昨年の世界選手権は日本勢史上初の金メダルを獲得。今大会も微風、中風、強風と状況が変化した中で安定感を見せ、吉田は「以前は風が弱いところを苦手にしていたけど、リオ後からの練習で戦えるようになった」と技術面の進歩にうなずいた。

 17年に生まれた吉田の長男・琉良(るい)君の存在も大きい。育児との両立で練習の時間は減ったが「いつも私たちの遠征に振り回して全然違う環境でもニコニコしているところを見ると、私たちも笑顔でいれば何とかなるんだなって」と気持ちの余裕を学んだ。3人で船に乗ることもあり、吉岡は「どんなに疲れていても琉良君がいると和やかになります」と“3人目の仲間”に感謝した。

 1メートル61の吉田と1メートル77の吉岡。昨年の世界一から慢心しなかった“凸凹コンビ”は、早くも1年後を見据え「銀メダルを金メダルに」と誓い合った。 

 ▽セーリング470級 全長470センチの2人乗りヨットで、風下から同時スタートで指定されたコースを周回して順位を競う。1着は1点、2着は2点…と着順が得点になる低得点方式。メダルレースは1着が2点、2着が4点と倍の得点になる。予選で5レース以上が実施された場合は最も悪い成績を除外することができる。

 セールを風の方向に向けて調整し、風を受けることで生まれる揚力で滑走する。スキッパーは波や風を読みながら舵(かじ)とメインセールの操作を務める。クルーはジブセールとスピネーカー(追い風用の帆)を操り、身を乗り出して船のバランスを取る。適正体重が合計130キロ前後で、日本人に最も適している種目。

 ▽五輪への道 日本は全10種目で1つずつ開催国枠を確保し、最大で15人が出場可能。各代表選考大会での成績を得点に換算し、合計得点から選出される。470級の選考大会は3月のプリンセスソフィア杯(パルマ)、世界選手権、9月のW杯江の島大会。世界選手権で3位以内の日本勢最上位が特別推薦として代表に内定し、8位以内に入ったチームにはボーナス得点が付与される。

 ◆吉田 愛(よしだ・あい)1980年(昭55)11月5日生まれ、神奈川県相模原市出身の38歳。小学1年生からセーリングを始める。国立音大付属中―国立音大付属高―日大。日大では全日本学生女子選手権で3連覇を達成。五輪は北京大会から3大会連続出場。12年に現コーチの吉田雄悟さん(35)と結婚、17年6月に長男・琉良君を出産。旧姓・近藤。1メートル61、58キロ。血液型A。

 ◇吉岡 美帆(よしおか・みほ)1990年(平2)8月27日生まれ、広島県広島市出身の28歳。塩瀬中(兵庫)―芦屋高(同)―立命大。中学まではバレー部に所属。セーリングを始めた高校ではFJ級に乗っていた。好物のお菓子「トッポ」があだ名。1メートル77、70キロ。血液型A。

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