【中嶋常幸 密着オーガスタ】ウッズ 熟したワインの風格

[ 2019年4月12日 09:51 ]

米男子ゴルフ マスターズ 第1日   ( 2019年4月11日    米ジョージア州オーガスタ オーガスタ・ナショナルGC=7475ヤード、パー72 )

練習ラウンドの3番で打球の行方を見るタイガー・ウッズ
Photo By 共同

 マスターズは初日前半の9ホールをどうプレーするかが、その後の流れをつくる上でとても重要になる。そういう意味で今年から5番パー4が改造され、距離が40ヤードも伸びて495ヤードになったのは興味深い。練習の時に話をしたオラサバルは「我々にとってはモンスターだが、若い人にはチャレンジのしがいがあるホールだ」と言っていた。

 その若い世代、ファウラーとラームは自信を持ってオーガスタに乗り込んできた印象を受ける。特にファウラーは昨年、1打差の2位に入るなどオーガスタを自分の得意なコースにしつつあるという感じがする。彼の良さはスイング軸の安定感と振りのシャープさ、そして集中力の高さ。何より強気のパッティングがこの高速グリーンには合っている。少しカップを外れただけで何メートルも転がってしまうガラスのようなグリーンを攻略するには、自信を持ったパッティングができないと勝負にはならない。

 一方で43歳になったウッズは昨年のツアー最終戦で復活優勝した。3月のアーノルド・パーマー招待を首痛で欠場するなど、今季はまだ他の選手に脅威を与えるような成績を残せてはいないが、まずまずのペースでオーガスタ入りしている。若い頃のような圧倒的な迫力はないものの、ショットの精度、飛距離は出せている。熟成したワインのような風格がある。日曜日はウエッジとパターだけを持って9ホールを回ったと聞いている。過去に4勝しているし、ここは何度もプレーして隅々まで熟知しているコース。無理をする必要はない。自分の体と相談しながら、最善の方法で開幕に備えているところも、以前とは違う熟成したたたずまいを感じさせる。 (プロゴルファー)

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2019年4月12日のニュース