令和時代引っ張る!奈紗 逆転で米3勝目「ドキドキして…」

[ 2019年4月2日 05:30 ]

米女子ゴルフツアー 起亜クラシック最終日 ( 2019年3月31日    カリフォルニア州・アビアラGC )

米女子ゴルフでツアー3勝目を挙げ、祝福される畑岡奈紗(中央)
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 1打差の2位で出た畑岡奈紗(20=森ビル)が6バーディー、1ボギーの67で回り、通算18アンダー、270で今季初優勝。昨秋のTOTOジャパンクラシック以来の米ツアー3勝目を挙げた。パットとショットが絶好調で、メジャー7勝の朴仁妃(パクインビ)(30=韓国)らに3打差をつけ初の4日間大会制覇。4日開幕のメジャー初戦、ANAインスピレーション(ミッションヒルズCC)に弾みをつけた。

 2位に3打差で迎えた最終18番。2オンに成功し、3勝目をほぼ手中に収めたというのに、畑岡の表情は険しかった。実は14番でリーダーボードを確認すると2位とは1打差。「ドキドキして、(14番)以降は見られなかった」と、1打差だと思い込んでいた。約80センチのウイニングパットを沈めると笑顔がはじけた。直後に待っていたのは母・博美さん(48)らとの歓喜の抱擁だった。

 1番でピンまで約1メートルに寄せてバーディーを奪取し朴仁妃に並ぶと、3番で80センチを沈め首位に立つ。16番で第1打を左の池に落としてボギーとし、朴仁妃に2差に迫られた。だが、17番では第3打をピンそば80センチにつけるスーパーショットで元賞金女王の心を折った。「インビさんとのラウンドで緊張していたけど、自分のプレーに徹することができた」

 今季は国内を含め4試合でベスト10はなし。2~3メートルのパットが入らず苦しんできたが、大会中に感触をつかみ、チャンスをことごとくものにした。パットに不安がなくなれば、今大会トップクラスのパーオン率・833、平均飛距離約270ヤードが生きた。正確性とパワーの総合力でライバルに差をつけた。

 過去の米2勝はともに3日間大会。「メジャーと4日間大会での勝利」を目標に掲げる畑岡。本格参戦3年目を迎え、今季からフロリダ州に拠点を構えるとともに、オフに年間を通じて戦える体力づくりに着手した。トレーナーの栖原(すはら)弘和氏は「昨季は下半身中心だったが、オフに上半身を強化し一回り大きくなった。今回の優勝はトレーニングの成果」と分析。昨年12月には、東京五輪の強化指定選手対象の合宿に参加し栄養学も学んだ。「アスリートとしてのマネジメントもできている」(栖原氏)というプロ意識で、4日間でも戦える持久力、ショットやパットでぶれない体幹、安定感を手に入れた。

 新元号発表の約1時間前に日本に吉報を届けた。4日から始まるANAインスピレーションでは、樋口久子以来42年ぶりの日本人メジャー制覇を目指す。「いい流れで迎えられる。後半でしっかり伸ばしていきたい」。「令和」の主役の視線は、すでに次のターゲットに向けられていた。

 ◆畑岡 奈紗(はたおか・なさ)1999年(平11)1月13日生まれ、茨城県笠間市出身の20歳。母親の影響で、11歳でゴルフを始める。15年から世界ジュニア選手権2連覇。17歳だった16年10月に日本女子オープンで史上最年少優勝を果たし、プロに転向。17年から米ツアーに本格参戦し、米ツアーで2勝。名前は米航空宇宙局(NASA)に由来する。1メートル58。

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