阿武咲、主役は俺だ!1敗並んだライバル勢、同い年貴景勝に負けん!

[ 2018年11月18日 05:30 ]

大相撲九州場所7日目 ( 2018年11月10日    福岡国際センター )

御嶽海を張り手で攻める貴景勝(撮影・中村 達也)
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 22歳の平幕・阿武咲が荒鷲を押し出して6勝目を挙げ、首位タイに浮上した。無傷だった同じ22歳の小結・貴景勝は関脇・御嶽海にはたき込まれて初黒星を喫し、1敗を守った平幕・大栄翔と3人がトップ並走。2敗で高安、平幕・栃煌山、千代大龍、阿炎、碧山の5人が追う混戦模様となった。

 もう1人の22歳を忘れてもらっちゃ困る。阿武咲が電車道で、荒鷲を土俵の外へ運んだ。96年生まれで同学年の貴景勝に、1敗で首位に並んだ。

 「ケガをしてから、今が一番いい状態。自然に体が動くようになった。頭で考えていないときに足が出ている。感覚が戻ってきた」

 回復を実感する足腰と、押し殺すライバル心が進撃を支える。今年初場所。東小結に新三役の貴景勝がいた。西小結は1場所前に新三役を射止めた阿武咲。小学生時代から競い合ってきた2人の若々しい出世レースを予感させた。

 ところが、阿武咲が右膝のじん帯を負傷し途中休場。翌春場所も全休し、あっという間に十両に転落。焦る気持ちを「自分は自分」と言い聞かせて忍んだ。その後も幕内で活躍し、今場所も6日目まで無傷で走った貴景勝を「凄い。認めざるを得ない。悔しいけど、そういう存在」と称えていた。一方で、「俺は俺なんで。意識して勝てるなら意識しますが、そうじゃない」と、幕内後半の貴景勝の相撲を見てもいたって冷静だ。

 体のケアも万全。特に足腰を冷やさないように注意している。カイロを大量に買い、寝るときはパンツの上から貼りまくる。数日おきに宿舎近くの温泉へ行き、サウナと水風呂の交代浴で、疲労を取っている。

 新入幕から3場所連続で2桁勝利を挙げたのは、15日制が定着した1949年夏場所以降で阿武咲だけ。だが「過去を捨て、新たな自分で」と言い切る。3横綱が休場し混戦模様の九州場所。クールに走る、こちらの22歳にもチャンスはある。

 《物言いも覆らず 貴景勝初黒星》単独首位の貴景勝が御嶽海にはたき込まれて初黒星。相手がまげをつかむ反則をしたと審判に訴えて物言いがついたが、軍配は覆らなかった。

 連勝が止まっても「遅かれ早かれこういう日が来るなと思っていた。一生懸命いけたらそれでいい」と淡々としており、気持ちは切り替わっている。混戦模様の中「前半戦はクリーン(忘れること)にして、残り8日間をどう戦っていくか。それだけ」と後半戦を見据えた。

 《大栄翔1敗死守 阿炎を押し出し》2日目から6連勝で、平幕・大栄翔がトップに並んだ。同じ1敗だった阿炎の引きに乗じて一気に押し出し。立ち合いで当たれずに突っ張られたが「はたきにいったら思うツボになっちゃうので」と前に攻める姿勢で勝ちきった。7日目終了時の1敗キープは昨年秋場所、今年初場所に続いて3度目。貴景勝は埼玉栄高の3学年後輩で巡業の支度部屋などで一緒にいることも多く「貴景勝と優勝争い?それぐらいしたい」と意気込んだ。

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