元横綱・日馬富士 引退相撲「新しいスタートなので、泣くわけにはいかない」

[ 2018年9月30日 17:48 ]

断髪式で元横綱・日馬富士にハサミを入れた元横綱・朝青龍のドルゴルスレン・ダグワドルジ氏(右)(撮影・西海健太郎)
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 昨年九州場所後に引退した元横綱・日馬富士(34=本名ダワーニャム・ビャンバドルジ)の引退相撲が30日、東京・両国国技館で行われ、白鵬(宮城野部屋)、鶴竜(井筒部屋)、稀勢の里(田子ノ浦部屋)の3横綱、元横綱・朝青龍のドルゴルスレン・ダグワドルジ氏、落語家・笑福亭鶴瓶、リオデジャネイロ五輪柔道男子73キロ級金メダルの大野将平ら約400人がはさみを入れ、師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱・旭富士)が大銀杏を切り落とした。元日馬富士はファンの声援に笑顔で応えるなど、涙は見せなかった。

 夕方からは都内のホテルでパーティーが開かれ、開宴前に報道陣に対応。2001年初場所の初土俵から、この日の引退相撲までを振り返り「あっという間の18年間。悔いのない18年間と感じた。新しいスタートなので、泣くわけにはいかない」と胸の内を明かした。

 断髪式の前には最後の横綱土俵入りが行われ、露払いに鶴竜、太刀持ちに白鵬を従え、現役時代と変わらない力強い不知火型を披露した。日馬富士が両国国技館の土俵に立つのは、9度目の優勝を飾った昨年秋場所後の10月5日に行われた「beyond 2020場所」で5人掛かりなどを行って以来、約1年ぶり。「相撲とは素晴らしいと思った。全身全霊で頑張ってきた私に、3横綱での土俵入りのチャンスを与えてくれたことに感謝」と話した。

 日馬富士は昨年10月、秋巡業中の鳥取市内での酒席で貴ノ岩に暴行し、負傷させた。その事実が同11月に明るみになり、責任を取って引退した。貴ノ岩の師匠である貴乃花親方は、この問題に絡み日本相撲協会と対立する形になり、今月になって相撲協会を退職する意向を固めた。貴乃花親方について聞かれると「私は相撲協会を離れているので、相撲協会のことをしゃべる権利ない。18年間、(相撲協会などに)お世話になったことに感謝してます」とだけ語った。

 土俵外では、現役時代から精力的に慈善活動を行い、モンゴルの心臓病の子供たちを支援してきた。4年前にはモンゴルへの学校設立の準備を開始。今年になってウランバートルに「新モンゴル日馬富士学園」が完成し、9月1日に開校式が行われた。様々な分野で子供たちが世界に羽ばたくことを望んでおり、「将来、相撲界に入る子が出てくれば」と期待した。

 自身の今後については「18年、相撲一筋で頑張ってきたので、ゆっくりしたい。旅をして勉強したい。いろんな国に行って、伝統文化を見ながら、新しい夢をみつけたい」と語った。

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2018年9月30日のニュース