ダニエル 元世界1位ジョコ撃破、2時間半熱闘「最高の勝利」

[ 2018年3月13日 05:30 ]

テニス BNPパリバ・オープン ( 2018年3月11日    米カリフォルニア州インディアンウェルズ )

BNPパリバOP男子シングルス2回戦 ジョコビッチを破り、喜ぶダニエル
Photo By ゲッティ=共同

 男子シングルス2回戦で世界ランキング109位のダニエル太郎(25=エイブル)が、同13位のノバク・ジョコビッチ(30=セルビア)から金星を挙げた。予選から勝ち上がった勢いを生かし、元世界1位、4大大会通算12勝の実力者を7―6、4―6、6―1で撃破した。錦織圭(28=日清食品)は同日に組まれていた初戦の2回戦を体調不良で欠場。女子シングルス3回戦で大坂なおみ(20=日清食品)は予選勝ち上がりのサーシャ・ビッカリー(22=米国)を6―3、6―3で下して16強入りした。

 2時間半の熱戦を制したダニエルは喜びをかみしめ、ぐっとコートにしゃがみ込んだ。元世界1位からの金星は「自分のキャリアで最高の勝利」。その表情に晴れやかな笑みが広がった。予選2試合を勝ち上がり、1回戦では今季ツアー初勝利。その勢いで右肘の故障明けだったジョコビッチものみ込んだ。「(負けるかもという思いも)たまにあったが、できると信じる考えの方が強かった」

 自分を信じる気持ちが疑う気持ちを上回ったのは第1セット、3―5で迎えた第9ゲームだった。長いラリーで相手の返球が浅くなった瞬間を逃さずにブレーク。「相手の調子は良くない。ここで踏ん張ればやれる」とタイブレークも制した。第2セットを落としても相手の運動量が落ちた最終セットは1―1から5ゲーム連取で押し切った。

 日本人選手には珍しくスペインを拠点とし、クレーコート育ちの粘り強いストロークを武器にしてきた。しかし、ハードコートでも通じる攻撃力を手に入れるために昨年9月に日本に戻った。今後は米国に拠点を移す可能性もあるといい、サーブのフォームも改良中。この日見せた浅い返球に対する積極性はダニエル自身が求め、身につけてきたものだった。

 ツアーのシングルスで一昨年は10勝を挙げたが昨年は4勝止まり。下部大会でも勝てない悪循環から抜け出してきた。「試合も厳しいトレーニングも全部楽しめないとつらい。毎日の事を楽しんでやれているのが大きい」。世界1位経験者からの白星は松岡修造、錦織圭に次いで日本男子3人目。キャリアの節目となる大きな勝利となった。

 ◆ダニエル太郎(だにえる・たろう)1993年(平5)1月27日生まれ、米ニューヨーク出身の25歳。父は米国人で母は日本人。幼少期は日本で過ごし、7歳でテニスを始める。父の仕事の都合で14歳でスペインに移住。バレンシアのアカデミーで腕を磨く。10年にプロ転向し、15年11月に初のトップ100入り。レッド・ツェッペリンなどのハードロックとウディ・アレンの映画が好き。日本語、英語、スペイン語に加えてロシア語も話すマルチリンガル。1メートル91、76キロ。

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