水泳界の“リアルレガシー”北島氏の強い「信念」と底知れぬ「努力」

[ 2016年11月24日 10:05 ]

水泳教室を行った北島氏
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 04年アテネ、08年北京五輪競泳男子100、200メートル平泳ぎで連続2冠を達成し、今春現役を引退した北島康介氏(34)が23日に都内で、主宰する水泳教室「キタジマ・アクアティクス」を開催した。年に一度の会員との交流会で、親交のある12年ロンドン五輪200メートル平泳ぎ銅メダルの立石諒(27)がゲスト参加し、トークショーを行った。

 ジュニアスイマーからの質問コーナー。平泳ぎを速く泳ぐコツを聞かれた北島氏は「コツで速くなった一流の選手はいない。努力が一番の近道」と答えた。一方ではこんな質問も。「水泳をやめようと思った時はありますか?」。それに対して北島氏は「僕は五輪に絶対行く夢があった。一瞬もやめようとは思わなかった」と返し、立石は「僕には北島康介がいたので、その人を抜くまでやめられなかった」と言った。

 一流スイマーの練習は想像を絶する。1日10キロ以上を泳ぎ込む上に、その間は景色が変わらない。息が苦しくても、コーチの合図とともに再び泳ぎ始める。タイム制限をオーバーすれば、クリアできるまで繰り返す。普通であれば逃げ出したくなる時も、北島氏の目には夢舞台に立つ自らの姿しか浮かばなかったのだ。前人未到の快挙の裏には、強い「信念」と底知れぬ「努力」があったと分かった。

 小さいころからスパルタ指導を受け、休むことなど許されなかったという。それでも、ネガティブな姿勢で練習するのではなく、憧れの場所を目指して心身を鍛錬することで、限界を超えて成長を続けることができた。引退した今、貴重な言葉を未来のトップスイマーに残し続けるレジェンドの新たな目標は「水に入る楽しさを伝える」こと。日本の水泳界には億の金を出しても買えない本当の“レガシー”がある。(記者コラム・宗野 周介)

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2016年11月24日のニュース