稀勢“覚醒”綱連破 白鵬に続き全勝鶴竜にも「自分の相撲取れた」

[ 2016年11月24日 05:30 ]

大相撲九州場所11日目 ( 2016年11月23日    福岡国際センター )

<九州場所11日目>支度部屋で自身の左手を見る稀勢の里
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 力強さが戻った大関が横綱連破で優勝戦線に踏みとどまった。稀勢の里はただ一人の全勝の横綱・鶴竜を豪快な右小手投げで撃破。2敗を死守した。1敗は鶴竜、日馬富士の両横綱、新入幕の石浦の3人で、2敗で稀勢の里、横綱・白鵬が追う展開。稀勢の里は12日目の日馬富士戦に勝って横綱3連破を果たせば、初優勝のチャンスは広がっていく。

 前日の白鵬に続き、鶴竜も破った。それでも、支度部屋では笑みひとつこぼさない。取組前からの落ち着いた表情は福岡国際センターを後にするまで変わらない。淡々と報道陣の質問に答える姿は日に日に風格が増してきている。

 「自分の相撲が取れました。(立ち合いは)いいんじゃないですか」

 そう振り返ったように、全勝の横綱相手に力強さが際立つ内容で勝ちきった。先場所の対戦では立ち合いで右から踏み込んだが、この日は前日の白鵬戦と同様に左足で踏み込んだ。それで左おっつけの威力が増した。相手の右差しを封じると、土俵際で十分の左四つに。鶴竜が巻き替えに来たところで出て、右から力ずくの小手投げを決めた。勢い余って、最後は両手で相手を押しつぶすような形になった。

 負ければトップと3差で優勝は絶望的となるところだったが、勝ったことで1差に迫った。そして12日目は1敗の日馬富士戦を迎える。稀勢の里が1場所に3横綱と対戦したのは過去に8度あるが、3連破したことはない。最近では琴奨菊が今年初場所に横綱3連破を成し遂げ、初優勝につなげた。優勝争いについては「まあ、しっかりやるだけ」と気合の高ぶりはないが、3連破を達成すれば琴奨菊、豪栄道に続いて賜杯を抱くチャンスとなる。

 日馬富士とは年間最多勝も争っており、現在66勝でトップに並んでいる。勝てばそのタイトル獲得にも前進する。「あしたまた、集中してやるだけ。力を出し切ってやるだけ」。誰もがその実力を認めながら、これまでは大一番でことごとく敗れてきた。同じ轍(てつ)は踏まない。千秋楽まで必死に優勝争いに食らいつく。

 ▼八角理事長(元横綱・北勝海) 稀勢の里は自信を持っている感じがした。優勝争いは稀勢の里、豪栄道が鍵になるだろう。2人が頑張れば大混戦で面白くなる。石浦は大したものだ。小ささを利用している。相手にとったら嫌だろう。

 ▽稀勢の里の鶴竜戦 この日の勝利により幕内対戦は31勝17敗、今年1年では3勝2敗となった。初場所は寄り切り、春場所は小手投げで倒したが、夏場所は寄り切られ、秋場所も下手投げで敗戦

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