豪栄道、綱獲りへ好発進!難敵破った「いつも通りの緊張感」

[ 2016年11月14日 05:30 ]

大相撲九州場所初日 ( 2016年11月13日    福岡国際センター )

栃煌山(右)を押し出しで下す豪栄道

 綱獲りに臨む大関・豪栄道(30=境川部屋)が東前頭筆頭の栃煌山(29=春日野部屋)を立ち合いから圧倒。押し出しで下し、順調なスタートを切った。全休明けの横綱・白鵬(31=宮城野部屋)は関脇・隠岐の海を突き落として2場所ぶりの白星。大関獲りの関脇・高安も遠藤に完勝して好発進。一方で横綱・日馬富士が小結・玉鷲に押し出される波乱があった。

 初の綱獲り場所。しかも大事な初日。豪栄道は攻めて攻めて緊張を吹き飛ばした。先場所までの対戦成績が19勝13敗の難敵、栃煌山。アマ時代からのライバルで、手の内を知り尽くした相手に選んだ作戦は正攻法だった。

 「立ち合いがよかった。いつも通りの緊張感はありましたけど」

 稽古通りに、低く当たって押し込んだ。得意の右を差せなくても構わず前へ。栃煌山が苦し紛れに突き落としを狙っても「よく見えていた」としっかり反応して残し、下から突き上げるように押してとどめを刺した。「最後はもっと脇を締めていかなアカン。出足はよかった」。冷静な反省も充実ぶりを物語る。

 周りがいくら変わっても、豪栄道は変わらなかった。福岡では場所前からさまざまなイベントに引っ張りだことなり、地元の大阪府寝屋川市役所では以前からある豪栄道コーナーを今月から拡張した。先月16日に行われた寝屋川での優勝パレードの写真も展示。この日の朝稽古には報道陣もどっと押し寄せた。それでもさまざまな質問に「いつもと同じ」「特別なことはない」と繰り返した。

 カド番で迎えた先場所初日との違いには「記者が多いこと。先場所は1人もおらんかった」と冗談交じりに笑った。酒も先場所同様、初日の1週間前から控えている。周囲の騒がしさをよそに、本人は頑固にペースを守る。

 初日の大切さはデータにも表れている。2000年以降、横綱昇進が懸かった場所の初日に黒星を喫した大関は、綱獲りに失敗している。先場所も綱を目指した稀勢の里が初日の黒星をきっかけに崩れた。その第1関門は突破。2日目は大関昇進を狙う高安が相手だ。「何してくるか分からんけど、我慢して取るだけ」。18年ぶりの日本出身横綱誕生へ、確かな足どりで歩み始めた。

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2016年11月14日のニュース