【岡崎真の目】真央の表現力向上 アイドルから本格女優に成長

[ 2016年10月9日 08:00 ]

フィンランディア杯第2日 ( 2016年10月7日    フィンランド・エスポー )

フィンランディア杯でフリーの演技を披露する浅田真央(AP)
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 SPと同一曲のバージョン違いを演じる今季の浅田のフリーは、SPの最後のポーズから始まるというしゃれた構成だ。そして、その工夫に見合うだけの演技力が光った。特に、1つ目のスピンに入る前に曲調が変化するタイミングで、オープニングからの妖艶な雰囲気が清楚(せいそ)な大人のそれにガラリと変わったのが非常に印象的だった。

 それを裏付けたのは5項目の演技点の中で「演技の表現力」の8・33と「音楽の解釈」の8・50という高得点だろう。「浅田らしさ」と言える清潔感を残しつつ、今は曲調に合わせてさまざまな女性を演じ切れる。試合に戻ってきた昨季から感じていたことなのだが、表現力の向上、例えるならアイドルが本格的女優に成長したような印象をさらに強くした。

 要素一つ一つを見れば、3回転が2回転になってしまったジャンプ、レベルの取りこぼしのあるスピン、ステップなど得点を取り切れていない部分はある。だが、トータルで見たプログラムのスタート地点としては、かなり高い位置にあると思う。中1週のスケートアメリカでどうブラッシュアップしてくるか、楽しみにしたい。 (ISUテクニカルスペシャリスト、プロコーチ)

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2016年10月9日のニュース