羽生、来季は4回転ジャンプ種類増やす「新しい扉開ける存在に」

[ 2016年4月5日 05:30 ]

エキシビションで華麗な演技を見せる羽生

 フィギュアスケート世界選手権の男子で2季連続銀メダルの羽生結弦(ゆづる、21=ANA)が3日、18年平昌五輪を見据え、来季はジャズなど新ジャンルのプログラムに挑戦する意向を示した。羽生は今後は左足甲のじん帯損傷のため練習拠点を置くカナダのトロントで治療を受けると発表、コンディションを整えて来季に向かう。この日は女子7位の浅田真央(25=中京大)らとともにエキシビションに出演した。

 今季最終予選を終えた羽生はまずは故障の回復に努めることになった。日本スケート連盟は左足甲のじん帯損傷のため練習拠点を置くカナダのトロントで治療を受けると発表した。羽生はシーズン序盤から左足に痛みを抱え、年明けに状態が悪化。世界選手権では一部のジャンプをサルコーに変えざるを得なかった。

 体を整えると同時にプログラムでは新境地を開く。羽生は平昌五輪のプレシーズンとなる来季への戦略の一端を明かした。「新しいプログラムを作るにあたって得意の同じ方向に突き詰めていくのか、もっと幅を広げて新しい一面を出していけるのか、いろいろ考えたい」。所属先の城田憲子監督は、「幅を広げるためにも違うジャンルでやりたい。ジャズはまだやったことないとか」と羽生の考えを補足。民俗音楽やヒップホップなど選択肢は多彩だ。

 SPで2季続いた「バラード第1番」、初の「和」に挑んだフリー「SEIMEI」は来季、演じない。世界最高得点を連発した2つのプログラムは、お互いを補完していた。「初めて“バラード”をもらった時はどうやって滑ればいいか分からないくらいだったけど、“SEIMEI”があったことで“バラード”をどう感じて、どう表現すればいいか考えられた」。表現について深く考察した経験は、来季につながる。

 今季はサルコーとトーループだった4回転ジャンプも、来季は種類を増やす予定だ。今大会前には4回転ループを組み込んだ新構成でも練習を重ねていた。この日、エキシビジョンの練習ではループに着氷し、決まらなかったものの、4回転ルッツにも挑戦。左足痛を抱えていても、「ケガのリスクもあるけど、自分は難易度をどんどん高くしていったことを誇りに思っている。現在、世界記録を持っている人間として、より新しい扉を開ける存在になれたら」と意欲的だ。

 世界選手権は2季連続で銀メダルに終わり、「気持ちの面で喪失感、悔しさ、悲しさもある」と言う。ただ、メダルの色は同じでも、昨季と中身が違う。「昨季は(中国杯の)ケガから復活したくらいしか、印象がなかった。今季は世界最高を出せたり、今の自分の完璧を試合で出せた。達成感を得られた大切なシーズン」。確かな手応えとともに、羽生が新たな自分を作り上げる。

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2016年4月5日のニュース