琴奨菊「よっしゃあ!」大関ライバル稀勢倒し全勝ターン

[ 2016年1月18日 05:30 ]

稀勢の里(手前)を寄り切り満足そうな表情を見せる琴奨菊

大相撲初場所8日目

(1月17日 両国国技館)
 大関対決で琴奨菊が稀勢の里を寄り切って全勝ターンを決めた。史上最多タイとなる幕内58回目の対戦は左おっつけを食らっても、立て直して左差しで得意のがぶり寄り。信頼できるパートナーに支えられ、06年初場所の栃東以来10年ぶりに国内出身力士の優勝を目指す。横綱の白鵬は返り血を浴びながら新関脇の嘉風を寄り切って全勝。1敗で横綱・日馬富士、平幕の隠岐の海、高安が追っている。

 風呂場から琴奨菊の喜色に満ちた声が西の支度部屋全体に響いた。「よ~し!よっしゃあ!」。幕内で稀勢の里との対戦は58回目。武蔵丸―貴ノ浪戦と並ぶ史上最多のライバル対決で、最古参大関が意地を見せた。

 立ち合いで右を差したが、相手が得意とする強烈な左おっつけを食らった。すぐに立て直して左差し、右でおっつけながら厳しく攻め立てた。「しっかり膝を曲げて、当たりの角度もよかった。意識していたことが全てはまった」。会心の内容で14年名古屋場所以来の全勝ターンに頬は緩みっぱなし。八角理事長(元横綱・北勝海)は「元気だし止まらない。持ち味が出た。きょうみたいな相撲で勝てば乗っていく」と称えた。

 角界入りした時から抜きつ抜かれつの出世争いをした。琴奨菊は02年初場所で稀勢の里より1場所早く初土俵を踏んだ。新十両と新入幕は1場所遅れ。大関昇進で再び1場所先んじたが、2人とも大関となった12年初場所以降は6勝14敗(不戦を除く)と劣勢だった。国内出身力士が優勝から遠ざかって10年。期待の筆頭候補として名前が挙がるのはいつもライバルばかり。「稀勢の里は強い。コンスタントに10番勝つ。自分は弱いから言われない。明確です」。周囲の評価を気にすることなく「結果が全て」と土俵で全力を尽くすことに集中していた。

 自身の誕生日でもある今月30日に挙式する。その準備などで多忙な祐未夫人はなかなか国技館に駆けつけられない。「全て任せて、やるべきことをやってくれている。だから自分は相撲に集中できる」。心から信頼できるパートナーの存在は、ライバルに差をつける大きな材料の一つだ。国技館を引き揚げる際に「やばい疲れた~」とポツリ。愛妻の支えで元気を取り戻し、勝負どころの後半戦に向かう。

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2016年1月18日のニュース