羽生、転んでも100点超え「4回転2本は強いのかな」

[ 2015年12月26日 05:30 ]

キス&クライでもジャンプを振り返る羽生

フィギュアスケート全日本選手権第1日

(12月25日 北海道・真駒内セキスイハイムアイスアリーナ)
 14年ソチ五輪金メダリストの羽生結弦(ゆづる、21=ANA)が、男子ショートプログラム(SP)で102・63点をマークして首位に立った。冒頭の4回転サルコーで転倒し、2週前のGPファイナルで叩き出した110・95点には及ばなかったが、4連覇へ好スタート。宇野昌磨(18=中京大中京高)が97・94点で4・69点差の2位につけた。フリーは26日に行われる。

 ジャンプのミスは、羽生の実力を際立たせる材料に過ぎない。冒頭、4回転サルコーで転倒しながら、トーループの4―3回転を決めて102・63点をマーク。今季、NHK杯で106・33点、GPファイナルで110・95点と2戦連続世界最高を連発するまでの最高得点だった101・45点を超えた。「正直、悔しい」としながらも「102点なんてノーミスしないと出ないような点。4回転2本は強いのかな」と振り返った。

 ミスの原因は「環境」と分析する。日本のトップスケーターが集う今大会。「同期や後輩がいたり、先輩がいたり。ずっと日本語が使える。やっぱりリラックスできてしまう。そこがちょっと難しいところ」。緊張とリラックス。そして体調。メンタルとフィジカルがうまくかみ合った時、好演技が生まれる。「毎回、試合によって違うし、いいバランスでいかないといけない」と話した。

 3年前の全日本、今大会と同じ会場で初優勝を飾った当時18歳の少年は、歓喜だけでなく心に少し傷を負った。高橋大輔がフリーで素晴らしい演技を披露したが、勝ったのはSPの貯金を生かして逃げ切った羽生。「会場の雰囲気が(高橋さんが)優勝という感じで。優勝したけど、その後苦しかった。ノイズというか、日本には賛否両論ある」と打ち明けた。

 21歳の今、思うことがある。「フィギュアって本当に好き好きがある競技。会場によっても見え方が全然違うし、見ている方の背景によっても演技が違って見える」。万人に評価されることは難しい。その事実を受け入れた上で「どんな方が見ても“素晴らしい”と思ってもらえる演技がしていければいい」と万人に評価されることを目指している。

 この日の演技後、すぐにジャンプの動作を確認する姿があった。「一つ一つ振り返っていきたい。良かったと思う点、悪かったと思う点があった。それはまだ確定じゃない。丁寧に仕分けしたい」。冷静に自らを見つめ直し、26日のフリーで「陰陽師」に臨む。「とにかくいい演技ができるように、また一生懸命やります」。4連覇も点数も気にしない。無心で安倍晴明を演じた時、ジャッジも観衆も、全員が心を奪われる。

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スポーツの2015年12月26日のニュース