横審から不満の声…八角体制初の稽古総見で白鵬、大関陣相撲せず

[ 2015年12月26日 05:30 ]

稽古総見に臨んだ八角理事長(前列右)と横審・北村委員(前列右から2人目)

 大相撲初場所(来年1月10日初日、両国国技館)に向けた横綱審議委員会(横審)による稽古総見が25日、東京・両国国技館内の相撲教習所で一般に非公開で行われ、横綱・白鵬や大関陣は相撲を取らなかった。初日まで2週間以上あるとはいえ「土俵の充実」を訴えた故北の湖前理事長(元横綱)から八角理事長(元横綱・北勝海)がトップを引き継いでから初の稽古総見。低調な内容に対し、横審委員長からは不満の声が漏れた。

 横審委員が本場所に向けた関取衆の仕上がりを見定めるという“本来の意味合い”からはかけ離れた稽古総見だった。大関陣は稀勢の里が発熱で欠席した上、照ノ富士、琴奨菊、豪栄道の3人もケガを抱えており土俵外での調整で終了。日馬富士と鶴竜の2横綱は関脇以下をつかまえて相撲を取ったものの、白鵬は四股などを行った後にぶつかり稽古で胸を出すのみ。上位がマイペース調整を貫いたため、通常よりも20分ほど早い午前10時40分に稽古が終了した。

 横審の守屋秀繁委員長(千葉大名誉教授)は「ちょっと寂しい。土俵の充実という点でどうなのか。物足りなさを感じた」と苦言。10時台で終えたことに関しても「朝青龍がいた頃は11時前に終わることはなかった。あの頃と比べると活気がない。積極性がない。11時になる15分前に終わるのは過去9年間で初」と上位の低調ぶりを嘆いた。

 確かに日程的に厳しいものはあった。番付発表翌日で、年明けを挟んで初日まで2週間以上も残されており、白鵬は「今からガンガンやっても駄目」と主張。18日に就任した八角理事長も「冬巡業から帰ってきたばかりで、これからという気持ちが強いのでしょう」と一定の理解は示したが「それじゃいけないんだけどね」とぼやく一幕も。

 北の湖前理事長は「土俵の充実」を訴え続け、新理事長も現役もその遺志を引き継ぐことを誓った。思えば、昨年9月の稽古総見ではマイペース調整の白鵬に対し、前理事長は「横綱なんだからもっと若手をつかまえて稽古をつけないと。あれではウオーミングアップ」と厳しい言葉を掛けた。本場所で結果を残すだけが相撲道ではない――。前理事長が亡き今だからこそ、稽古の充実ぶりが求められている。

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2015年12月26日のニュース