勢 ケガの功名で1差キープ!自己最速タイ9日目給金

[ 2015年9月22日 05:30 ]

安美錦(左)を小手投げで下す勢

大相撲秋場所9日目

(9月21日 両国国技館)
 1敗の平幕・勢が安美錦を小手投げで破り、勝ち越しを決めた。9日目の給金直しは昨年夏場所以来。2勝13敗と大負けした今年名古屋場所後、慢性的な痛みに悩まされていた左肩を治療。思い切りのいい内容で白星を重ねる。大関・稀勢の里は小結・隠岐の海に逆転の突き落としを食らい、2敗に後退した。大関・照ノ富士は逸ノ城を圧倒して全勝を守った。
【9日目取組結果】

  喝采を浴びて花道を引き揚げる勢が頬を緩めた。ベテラン業師の安美錦戦。立ち合いで左に変化された。体勢を崩して押し込まれたものの、右で抱えて逆転の小手投げ。鮮やかに転がした。9日目で勝ち越しを決めたのは11勝4敗で敢闘賞受賞した昨年の夏場所以来。「今場所はバタバタして自分で墓穴を掘る相撲がない。ちゃんと攻められている」と胸を張った。

 好調の要因は左肩痛の改善だ。幕下時代から悩まされ、テーピングで固めて土俵に上がることもたびたびあった。「注射針を見るのも嫌」という病院嫌いのため、我慢に我慢を重ねていた。今年名古屋場所は2勝13敗の惨敗で一念発起。患部にたまった血と水を注射器で抜く手術を受けた。「肩がだいぶ軽くなった。完全じゃないけど、気持ちの面で違う」。手術後の夏巡業を休んで巡業皆勤賞は途切れた。土俵以外のファンサービスにも熱心で、甚句を披露することもある人気者だけに「苦しかった」と悔しがる。しかし、相撲が取れなかった間に四股、すり足など基本動作を30分増やして鍛え直した。秋場所での健闘は必然だった。

 1敗を守り、横綱・鶴竜と並んで全勝の大関・照ノ富士を1差で追う。「勝っても負けても、いつもどおり相撲を取りたい」と支度部屋に戻ると平常心を強調した。

 だが、その直後にアクシデント!?があった。あがり性で「緊張して眠れなくなる」という理由から、対戦相手を当日まで聞かないようにしている。支度部屋でモニターに翌日の取組が映れば顔をそむけるなど“見ない努力”を惜しまない。しかし、この事情に通じていない関係者から対戦相手を通告されてしまった。表情をこわばらせ、冷や汗を垂らしながら「こんなの気にしているようではダメなんですけどね」と苦笑い。心を乱されて臨む、10日目は遠藤戦。元三役の真価が問われる。

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2015年9月22日のニュース