日本 快足23歳福岡で金星もう一丁!スコットランド戦先発決定

[ 2015年9月22日 05:30 ]

報道陣に対応する福岡

ラグビーW杯イングランド大会1次リーグB組 日本―スコットランド

(9月23日 グロスター)
 日本代表は21日、ブライトン市内のチーム宿舎で会見を行い、1次リーグB組第2戦のスコットランド戦(23日、グロスター)の登録メンバー23人を発表した。初戦の南アフリカ戦では登録外となったWTB福岡堅樹(23=筑波大)は11番での先発が決定。13年11月の対戦で2トライを奪ったチーム一の俊足フィニッシャーに対し、エディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC=55)も再現を期待した。チームは午後、グロスターへ移動した。

 待ち焦がれた大舞台の先発機会がいよいよ訪れる。ジョーンズHCとリーチ主将の会見後、取材に応じた福岡は「前回試合をした時はいいイメージを残せているので、さらにいいパフォーマンスができればいいと思います」と丁寧な言葉遣いで語った。

 13年11月9日、スコットランドラグビーの聖地マレーフィールドで、現地のファンをも驚かせたのが福岡のスピードだ。走るたびに芝が剥がれるほどのソフトなピッチだったにもかかわらず、スピードに陰りはなかった。2トライ以外の場面でも、対面選手を振り切るシーンをつくった。ジョーンズHCも「まだかわいい学生だがスピードもあるし、1対1で抜けるかもしれない」と先発起用の理由を明かした。

 もちろん、その2年前以上の進化も遂げた。4月に始まった代表の宮崎合宿当初は、スピードトレーニングの世界的権威であるフラン・ボッシュ氏とマンツーマンのトレーニングで磨きを掛けた。前傾で腰の曲がった姿勢で走っていた福岡に足りなかったのは、安定感。前傾姿勢は保ちながらも腰を曲げない走法で安定感は増し、ランからステップといった切り替えもスムーズに。「オプションポジション」と呼ばれる姿勢を手に入れ、スピードを警戒してくる相手の上を行くつもりだ。

 南アフリカ戦はスタンドから見守った。「もちろん出たかった。80分間落ち着かなかったのは初めて」。快挙を喜ぶ半面、ピッチに立てない歯がゆい気持ちもあった。W杯前国内最終戦となった8月29日のウルグアイ戦(秩父宮)では内側にステップを切る場面が多く、ジョーンズHCが「残念だった。2トライを取れた」と苦言を呈した。南アフリカ戦を外れた理由との因果関係は不明だが、タッチライン際こそ輝けるエリア。福岡も「持ち味を期待してもらっている。そこを出したい」と相手の外側で振り切ることを宣言した。

 父が歯科医、母方の祖父が医師という家庭で育ったが、自身は医学部を受験も2度失敗。20年東京五輪後にラグビーから離れ、次の目標に向かう意志をすでに固めている。W杯に出場できるチャンスは2大会のみ。スコットランドに勝ったのは89年5月28日、実に26年前のことだ。だが、この試合は相手はテストマッチとは認定していない。文武両道の大学生が、正真正銘の勝利へ、そして、日本の連続“金星”へトライを決める。

 ◆福岡 堅樹(ふくおか・けんき)1992年(平4)9月7日、福岡県古賀市生まれの23歳。5歳からラグビーを始め、福岡高では高3で花園出場。1浪後の12年4月に筑波大へ進学し、現在4年生。13年4月20日のフィリピン戦で初キャップ。昨年の東京セブンズなどで7人制日本代表にも選ばれた。ポジションはウイング。1メートル75、83キロ、通算16キャップ。

 ≪W杯先発の大学生過去8人≫ W杯で先発した大学生は過去8人。87年大会の宮本勝文(同大)、シナリ・ラトゥ(大東大)、91年大会の増保輝則(早大)、95年大会のシオネ・ラトゥ、ロペティ・オト(ともに大東大)、広瀬佳司(京産大)、03年大会の山村亮(関東学院大)、07年大会のクリスチャン・ロアマヌ(埼玉工大)。トライは宮本(1)、増保(2)、オト(2)がマーク。なお、今大会はWTB藤田慶和(早大)も選出されているが、2戦目までメンバーから外れている。

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