初代スポーツ庁長官に鈴木大地氏 40代政府組織トップは異例

[ 2015年9月4日 05:30 ]

鈴木大地氏

 政府は10月に発足するスポーツ庁の初代長官に、1988年ソウル五輪競泳金メダリストの鈴木大地氏(48)を充てる方向で最終調整に入った。複数の関係者が3日、明らかにした。

 2020年東京五輪・パラリンピックに向けた選手強化の司令塔を担うため、元スポーツ選手として知名度の高い鈴木氏が適任と判断した。40代の政府組織トップは異例となる。関係者によると、政府側の打診に対し、鈴木氏は前向きな姿勢を示しているという。

 鈴木氏は88年ソウル五輪の競泳男子100メートル背泳ぎで、代名詞の潜水キック「バサロ」を武器に金メダルを獲得。13年に史上最年少の46歳で日本水泳連盟の会長に就任した。飾らない人柄で、「前向きに頑張りましょう。泳ぎは後ろ向き(の背泳ぎ)でしたけどね」といったジョークも飛ばす。一方で、日本水連の会長となってからは年長者ばかりの執行部を束ね、組織を運営。ある幹部は「若い割にしっかりしている。爽やかで、スポンサー受けも抜群にいい」と話す。鈴木氏が理事を務める日本オリンピック委員会の関係者も「次世代のスポーツ界の顔と期待される存在」と歓迎した。

 スポーツ庁はトップ選手の強化のほか、スポーツを通じた国民の健康増進、地域振興に専門的に取り組む官庁。文部科学省の外局として同省を中心に各府省の関係部局から職員を集めて120人態勢で発足する。

 政府内には、84年のロサンゼルス五輪柔道金メダリストの山下泰裕氏(58)や日本バスケットボール協会の川淵三郎会長(78)を推す意見もあった。だが、山下氏は全日本柔道連盟の副会長として、暴力指導問題などで揺れた連盟の再建に取り組んでいる。川淵氏は、来年秋に開幕する男子の新リーグを軌道に乗せる役割があり、政府内で鈴木氏が有力となった。

 ◆鈴木 大地(すずき・だいち)1967年(昭42)3月10日、千葉県習志野市生まれの48歳。順天堂大4年時、ソウル五輪100メートル背泳ぎで日本競泳陣16年ぶりの金メダルを獲得した。92年引退。日本オリンピック委員会(JOC)理事、20年東京五輪・パラリンピック組織委員会のアスリート委員長。順大大学院修了で、順大教授。

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