羽生SP転倒で3位発進 「愛してる~」女性グループ絶叫の中…

[ 2014年3月27日 05:30 ]

男子SPで転倒する羽生

フィギュアスケート世界選手権第1日 男子SP

(3月26日 さいたまスーパーアリーナ)
 “氷上のプリンス”がミスに苦笑いだ。男子ショートプログラム(SP)が行われ、ソチ五輪で金メダルを獲得した羽生結弦(ゆづる、19=ANA)は4回転トーループで転倒し、91・24点で3位発進。ソチ五輪5位の町田樹(たつき、24=関大)が自己ベストの98・21点で首位、右膝故障で欠場の高橋大輔(28=関大大学院)の代役で出場した小塚崇彦(25=トヨタ自動車)は85・54点で6位だった。27日は女子SPなどが行われ、男子フリーは28日に行われる。

 19歳の凱旋試合は、まるでアイドルのコンサートだ。羽生の演技開始直前、女性グループが「ユヅ、愛してる~!」と絶叫した。異様な雰囲気の中でスタートした「パリの散歩道」。冒頭、得意の4回転トーループは回転不足で激しく転倒した。トリプルアクセル、3―3回転のコンビネーションを決めた“氷上のプリンス”だが、演技を終えると苦笑い。91・24点は自身が保持する世界最高得点の101・45点に遠く及ばず、得点が出た瞬間は端正なマスクが少しゆがんだ。

 「(演技前の)声援は聞こえていたけど、影響があったかと言われれば、ない。SPはミスなくきていたので、ちょっとした過信とか気の緩みがあったのかな。全くハッピーと言えないし、自分に怒りも感じている。自分がホント許せない」

 日本男子初の金メダルを獲得したソチ五輪から1カ月。夢舞台を終えても高いモチベーションを保っていた。ソチ五輪銀メダルで合計の世界最高得点を保持するチャン(カナダ)は欠場。金メダルの大本命でライバルから追われる立場になったが、羽生の考えは違う。「ボクはまだ自分自身を追いかけられる。プレッシャーと闘いながら、どれだけいい演技ができるか楽しみ」。自分に集中する姿勢は五輪前と変わらなかったが、完璧な演技は披露できなかった。

 今大会は有料の公式練習から大声援を浴びたが、リンク外にも羽生フィーバーは波及。フリーの1~3位が表彰される29日のスモールメダルセレモニーは、観客入場口付近の公共スペースで行われる。チケットを持たないファンも見ることが可能で、13年四大陸選手権の同セレモニーもファンが殺到。今大会で羽生がセレモニーに登場すれば大混乱は必至だ。警備員は増員していないが、日本連盟関係者は「(四大陸よりも)一層の緊張感を持って警備するということです」と説明した。

 フリーは28日。首位・町田とは6・97点差だが、「楽しい!すっごい楽しいです」と不敵に笑う。五輪は制したものの、世界選手権は12年大会の銅メダルが自己最高。「あさって(28日)はハッピーでいたい。しっかり頑張りたい」。SP3位からの逆転戴冠へ。黄金の輝きは誰にも譲らない。

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