愛子 引退発表「満足感しかない」27日地元でラストラン

[ 2014年3月27日 05:30 ]

望遠レンズで練習風景を撮影する上村

 フリースタイルスキー・モーグル女子の上村愛子(34=北野建設)が26日、今季限りでの引退を発表した。98年長野五輪から5度の五輪に出場し、08年にはW杯の種目別総合優勝も達成。“愛子スマイル”とともに日本をけん引し続けてきたモーグル界のヒロインは、27日に地元の長野県白馬村で行われる全日本選手権で現役ラストランを迎える。

 ソチ五輪が上村に踏ん切りをつけさせた。悲願のメダルを目指した5度目の挑戦は前回大会に続く4位。メダルに届かなかったものの、試合直後に湧き上がってきた感情は「すがすがしい」達成感だった。1カ月以上たっても気持ちは変わりなく、“もう一度”の意欲は湧いてこなかった。

 「メンタルが弱かったり体力が足りなかったり、いろんな面で後悔が残る五輪が続いていた。今回はそういう気持ちはなかった。今は精いっぱいやれた満足感しかない」

 公式練習後に語った引退の理由。五輪後はW杯転戦への意思が薄れているのも感じたという。左脚付け根の痛みで欠場したW杯猪苗代大会の後に会社にも伝え、地元での今大会を最後と決めた。

 「急に決まったことではないし、そんなに悲しくはない」。笑みを浮かべてそう言えるのは、伊藤みきや村田愛里咲、星野純子ら、自分に続く選手が育ってきたからでもある。後輩に力を貸したい思いは現役を退いても変わらず、プランは明かさなかったが「ずっと応援していきたい。自分だからできることをやっていければいい」と語った。以前から周囲には「ジュニアを体系立てて教えていくノウハウが全日本にはまだない。そういうところで力になりたい」とも語っている。自身は世界一と評されたターンを武器に、エアでは大技のコークスクリューに挑戦するなど、高い理想を持ち続けてきた。今後は、その経験と技術を生かした育成環境の充実に意欲を示しているという。

 2日前から雪上練習を再開したばかりで、ケガを考慮して、28日のデュアルは欠場する。27日が現役最後の試合。「五輪に出てみたいというところから始まった夢なので、いろんなものがかなったなという気持ちが凄くある」。中学2年生でモーグルと出合ってから20年。喜びも苦しみも教えてくれたコブ斜面に別れを告げる。

 ◆上村 愛子(うえむら・あいこ)1979年(昭54)12月9日、兵庫県伊丹市生まれの34歳。2歳の時に長野県に移住し4歳からスキーを始める。白馬中2年時にアルペンから転向。白馬高3年時の長野五輪は7位。以降の五輪は6位、5位、4位、4位。日本人初の冬季五輪5大会連続入賞を記録した。07~08年W杯種目別総合優勝、09年世界選手権2冠。同年6月にアルペンスキーヤーの皆川賢太郎と結婚した。1メートル56、51キロ。

続きを表示

2014年3月27日のニュース