鶴竜 天敵・稀勢撃破 横綱昇進&初Vへ追い風

[ 2014年3月22日 05:30 ]

鶴竜(右)は稀勢の里をつきだして下す

大相撲春場所13日目

(3月21日 ボディメーカーコロシアム)
 大関・鶴竜が大関・稀勢の里を突き出して1敗を守り、横綱昇進と初優勝に大きく前進した。全勝だった横綱・白鵬は大関・琴奨菊に寄り倒されて、鶴竜に1敗で並ばれた。綱獲りへ向けて鶴竜は22日、白鵬と大一番を迎える。横綱・日馬富士は関脇・豪栄道に敗れて2敗に後退した。十両は豊真将が13連勝で優勝を決めた。

 鶴竜にVへのマジック2が点灯した。同時に、綱獲りの階段も1歩上った。過去10勝24敗の天敵・稀勢の里も、今の鶴竜にとっては問題ではなかった。立ち合いが合わず、2度の仕切り直しにも動じなかった。

 「自分のタイミングで立ちたかった。慌てないでいけて、よかった」

 いつも通り、淡々と振り返った。仕切りで考えていたことは2つ。「とにかく、当たりにいこう。左四つにならないようにしよう」。迷いなくガツンと当たった。右前まわしは取れなかったが、左を差されることは阻止。「あとは流れ」。まわしにこだわらず、すぐに右からいなし。間髪入れずに内側から両手を繰り出して、突き出した。最後は、ダメ押しギリギリのひと突き。「気合入れすぎました」と珍しく闘志を表に出した。

 今場所の好調を「これまでの積み重ね」と説明する。コツコツとやる姿勢は少年時代からだ。15歳でモンゴルから来日。そのときに橋渡し役を務めた日本相撲振興会の時田一弘会長は「鶴竜は真面目な優等生だった」と振り返る。ただ、内に秘める闘志も確かに存在していた。来日後2年ほどたったある日。同会長は「そろそろ母国に帰りたくないか」と聞いた。すると鶴竜がムっとして言い返してきた。「何でそんなこと聞くんですか。日本で相撲がしたくてやって来たんです」。穏やかな少年が垣間見せた負けん気。頂上を狙う闘争心はしっかり内面で成長していた。

 綱獲りについて、鏡山審判部長(元関脇・多賀竜)は「足音がちょっとずつ近づいてきた。ただし(2場所とも)優勝なし、なしではね」と、今場所の優勝を求める。

 1敗同士となった白鵬とのきょうの決戦は賜杯の行方を占う大一番。横綱は13日目の琴奨菊戦で右手を痛め、万全ではない。鶴竜に追い風が吹き始めた。

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