稀勢 日馬撃破!勝ち進めば…来場所再び綱取りへ

[ 2013年9月27日 06:00 ]

日馬富士(下)を肩透かしで破る稀勢の里

大相撲秋場所12日目

(9月26日 両国国技館)
 大関・稀勢の里が横綱・日馬富士との2敗対決を熱戦の末に肩透かしで破り10勝目を挙げ、トップの横綱・白鵬との1差を守った。先場所綱獲りが失敗に終わり、再スタートを切った場所で再び白鵬と優勝争いを展開。横綱審議委員会の内山斉委員長(読売新聞グループ本社顧問)はこのまま千秋楽まで優勝争いをすれば、準優勝でも来場所で再び綱獲りになる可能性を示した。3敗に日馬富士、鶴竜、遠藤の3人が続いている。

 どんなに悪い体勢になっても、稀勢の里が心に誓っていたのは「我慢です。それだけ」。立ち合いから一方的に押し込み、誰もが勝負ありと思った瞬間、日馬富士が土俵際で腰を下ろして潜り込み逆襲してきた。

 低い体勢で頭をつけてきた横綱に対し、大関の状態は棒立ちで半身に。そこから約40秒――。じっと我慢してタイミングを計り、最後はパワーで強引に下に押さえつけるような肩透かしを繰り出し、横綱の体を1回転させた。

 綱獲りが懸かった先場所は、重圧から前半で失速し11勝4敗に終わった。頂点を目指す闘いも一から出直しとなったが、1場所で再び優勝争いに加わってきたことで、横審の評価も上がってきた。内山委員長は「稀勢の里はクンロク(9勝6敗)大関ではなく、相撲が安定している」と今場所を含め、大関昇進後11場所中10場所で2桁勝利を挙げていることを称賛。横綱昇進のためには「2場所連続優勝か、それに準ずる成績」という内規があるが、それでも、同委員長は、今場所優勝できなかったとしても「2敗のまま勝ち進めば来場所は綱獲りになる」と話した。

 “球友”の存在が刺激になっている。この日、同じ茨城出身で同学年の楽天・美馬投手が優勝を決めた西武戦で先発した。常総学院など名門校からもスカウトが来るほどの野球少年だった稀勢の里は、中学時に投げ合ったことがあり「頑張ってほしい。入った時から応援してる」と朝稽古の後にエールを送っていた。

 これまで、何度も緊迫した終盤戦を味わってきたおかげで、重圧のかかる一番を前にしても視野を広げて話ができるほど肝も据わってきた。

 13日目はここ直近3場所で1勝2敗の豪栄道、14日目は白鵬との対戦が予想される。「いい経験をさせてもらってる。それを無駄にしないようにいきたい」と力強く語った。

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2013年9月27日のニュース