全柔連 “脱・講道館派”東大トリオで改革断行

[ 2013年8月13日 06:00 ]

常務理事会後の会見に臨む宇野広報委員長(左)と藤原理事

 東大の“3本の矢”が改革を推し進める。全日本柔道連盟(全柔連)は12日、東京都文京区の講道館で常務理事会を開き、新日鉄住金会長兼最高経営責任者(CEO)の宗岡正二氏(67)と、トヨタ自動車顧問の近石康宏氏(64)に理事就任を要請することを決めた。それぞれ会長、専務理事候補となる。加えて2人と同じ東大柔道部出身の宇野博昌広報委員長(63)が次期事務局長に就任する見通しであることも判明。執行部を東大の頭脳で固めて柔道界は難局を乗り切る。

 複雑に絡まった全柔連問題の解は、東大の頭脳が導き出す。執行部選定チームは、初の外部からの会長候補として宗岡氏に絞って交渉を進めてきた。その宗岡氏から「この人が一緒ならば改革を実行できる」という強い希望を受け、近石氏にも理事就任を要請した。

 近石氏は大阪府警察本部長を務め、現在はトヨタ自動車の顧問。「宗岡さんの頼みなら断るわけにはいかない」とすでに前向きな姿勢を示しているという。この日の常務理事会でも2人の名前に異議を唱える声はなく、藤原庸介外部理事は「柔道の今後100年の基礎をつくっていただける。これまでは仲間内でやっていた柔道界の多様性を補ってくれる」と歓迎した。

 非常勤となる2人の手足となって働く事務局長には宇野広報委員長が選ばれる可能性が高い。宇野氏は近石氏の3学年後輩で気心の知れた間柄。副会長候補には山下泰裕理事らの名前が挙がるが、改革の中心的役割は東大トロイカ体制が担うことになりそうだ。

 新執行部はこれまでの柔道界のしがらみとも縁薄くなる。東大柔道部は現在主流の講道館柔道とは別の高専柔道の流れをくんでいる。一連の問題の一因は学閥争いにあるとも言われたが、旧来の学閥の対抗図式とは距離を置ければ、改革断行への障壁も少なくなる。新理事候補は14日の理事会で推薦され、21日の評議員会で選任されれば、新理事会による互選で執行部の顔ぶれが確定する。

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2013年8月13日のニュース