“悲劇”のチーフス、連敗8でストップも指揮官号泣

[ 2012年12月4日 06:00 ]

 選手の自殺を目の前で見たチーフスのロミオ・クレネル監督(65)が事件から一夜明けた2日、地元カンザスシティーでのパンサーズ戦で陣頭指揮を執り、チームは27―21で勝利を収めて連敗を8で阻止。試合を強行したNFLに疑問を投げかける声もあったが、指揮官は敢然とフィールドに立った。しかし試合後は号泣。悲劇のあとにつかんだ今季2勝目を、笑顔で喜ぶ者は誰もいなかった。

 先発LBのベルチャーが22歳の恋人を射殺し、銃で自らの頭部を撃ち抜いたのは1日。「僕にチャンスを与えてくれてありがとう」と自殺直前にあいさつされたクレネル監督とピオーリGMらは、その凄惨な場面の目撃者となった。それでも「自分が強くなれば選手もきっと強くなってくれる。そう信じた」と同監督は奮起。その言葉に呼応するかのようにQBクインが2TDパスを通し、チームは一度もターンオーバーを喫することなく、パンサーズに競り勝った。

 「私は自分が見たものを話さないと決めた。理解してほしい」。試合後の会見でも苦悩の表情。「あなたを尊敬しています」という選手の声だけが、65歳の指揮官にとってせめてもの“救い”になったかもしれない。

 ▽事件経過 ベルチャーは自宅で22歳のカサンドラ・パーキンスさんに銃で数発を発砲して射殺。2人の間には生後3カ月の女の子がいるが最近は口論が絶えなかったという。自殺現場は練習場の駐車場。クレネル監督ら複数の球団職員がこれを目撃した。

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2012年12月4日のニュース