ボルト100メートル今季最高9秒82で圧勝発進

[ 2012年5月7日 06:00 ]

今季世界最高の9秒82で圧勝したボルト(左から2人目)

陸上ジャマイカ国際

(5月5日 キングストン)
 短距離界の帝王、ウサイン・ボルト(25=ジャマイカ)が個人種目の今季初戦に臨み、男子100メートルで今季世界最高の9秒82をマークして優勝した。世界記録更新を目指すロンドン五輪へ向けて、順調な調整ぶりをアピールした。男子200メートルでは昨夏の世界選手権(韓国・大邱)の100メートルで優勝したヨハン・ブレーク(22=ジャマイカ)が19秒91、女子100メートルではカーメリタ・ジーター(32=米国)が10秒81のともに今季世界最高で1位となった。

 レースは、9秒85のベスト記録を持つリチャード・トンプソン(トリニダード・トバゴ)がフライングで失格するという波乱の幕開けとなった。昨年の世界選手権の同種目決勝で1発失格をくらっているボルトは「また自分かと思った」と一瞬悪夢が脳裏をよぎった。

 だが、仕切り直した2度目の号砲では無難にスタートすると、持ち味の広いストライドでぐんぐん加速し、2位になったマイケル・フレイター(ジャマイカ)に0秒18の大差をつけてフィニッシュ。ジャマイカのポーシャ・シンプソンミラー首相が見守る中で、世界記録保持者としての貫禄を見せつけた。

 シーズン初戦で今季世界最高をマーク。「体力強化と同時に、弱点を克服する練習をずっと続けている」とここまでのトレーニングに手応えを得た。苦手といわれるスタートが改善されれば、自身が保持する世界記録(9秒58)と五輪記録(9秒69)の更新、さらにロンドン五輪の最終目標タイムに掲げる9秒40も決して夢ではない。

 4月には英BBCのインタビューに答えて「みんな、私が9秒40(100メートル)と19秒00(200メートル)で走るのを見たいはずだ。だから自分は可能な限りのハードな練習を積み重ねている」と語ったばかりだ。「もしロンドン五輪で圧倒的な成績を残せば、自分は生きながら伝説の男になれる」と2大会連続の3冠(100メートル、200メートル、400メートルリレー)に向けて並々ならぬ意欲を示していた。

 自身今季初戦は終え「ファンに会えるのはいつも楽しい。幸せな気分だ」と笑顔を見せた。2戦目は今月31日のゴールデン・リーグ第3戦(ローマ)。短距離界の帝王は気分よく五輪イヤーのスタートを切った。

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2012年5月7日のニュース