浅見“なでしこ頂上決戦”制し、女子48キロ級連覇

[ 2011年8月24日 06:00 ]

女子48キロ級の表彰式で、うなだれる銀メダルの福見友子(左)と金の浅見八瑠奈

柔道世界選手権第1日

(8月23日 フランス・パリ、ベルシー体育館)
 昨年の東京大会に続き日本勢同士の決勝となった女子48キロ級は、世界女王で世界ランク1位の浅見八瑠奈(23=コマツ)が同2位の福見友子(26=了徳寺学園職)から有効を奪い、優勢勝ち。連覇を達成し、ロンドン五輪代表に大きく前進した。また、男子66キロ級で海老沼匡(21=明大)が7試合中5試合で一本勝ちする圧倒的な強さで、初優勝。同60キロ級では平岡拓晃(26=了徳寺学園職)が銀メダルを獲得した。

 引き締まった表情のままの浅見が、表彰台で君が代を聴いていた。昨年と同じ場所だが、意味は違う。五輪前年の世界選手権で、五輪出場を争う最大のライバルを退けての連覇達成。笑顔をグッとこらえたような表情が、逆に満足感と達成感を示していた。

 昨年と同じ顔合わせの決勝。けんか四つの組み手争いを制し、徐々に攻勢に出た。両者ポイントなしで迎えた残り27秒。福見が仕掛けた小外刈りに、大内刈りを返し、場外際で倒した。有効。昨年は指導2で引き出したのと同じポイントを、今回ははっきりと投げて奪ったことが、成長の証でもあった。

 初出場だった昨年は、無欲の快進撃を見せた。決勝で前年女王の福見を破り、ロンドン五輪の代表争いに名乗りを上げた。「福見さんには(09年女王としての)重圧があったと思う。私は近くで見て、勉強になった」。自分がその境遇になった今年、福見ができなかったV2を成し遂げた。

 五輪5大会連続出場で、金メダル2、銀2、銅1を獲得した谷亮子・現参議院議員が、昨秋に引退。6大会ぶりの「五輪初出場」をめぐる世界最高レベルの戦いは、最終コーナーを迎えつつある。84年ロサンゼルス五輪の代表最終選考会で優勝しながら、五輪出場を逃した父・三喜夫さんの無念から27年余り。その父の代わりに五輪に出場し金メダルを獲得した松岡義之監督の率いるコマツの門を叩いた、社会人1年目の金メダル。23歳が今、ポスト谷の座を射止めようとしている。

 ▼浅見八瑠奈 1回戦から決勝に向けてどんどん動きが良くなった。自分の柔道はできた。ロンドンまでまだ代表になれるか分からないので、これからも気を引き締めて頑張りたい。

 ◆浅見 八瑠奈(あさみ・はるな)1988年(昭63)4月12日、愛媛県生まれの23歳。新田高―山梨学院大出。コマツ所属。3歳で柔道を始める。昨年の世界選手権金メダル。今年はマスターズ大会を制し、グランドスラムはパリ、リオデジャネイロ両大会で優勝。得意は背負い投げ。1メートル53。

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